お願い事は慎重に。

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 梨花子の状態まで詳しくわからなかったが、どうも梨花子のお母さんが娘が事故に遭ってしまったことに酷く動揺して取り乱しているらしい。  ちなみに梨花子のお父さんは今は海外に出張中だそうだ。  慌ただしく母親が出ていって一人残された家のリビングで、まさか、と思う。  昨日、神様に頼りすぎな梨花子にそろそろ痛い目を見させてやってくださいとお願いした。しかもそのあと、俺は何を思っただろう。バチでも当たればいいと心の中ででも願ってしまった。  “ここの神様、叶えてくれるって有名なんだから!”  頭の中に、梨花子の声が反芻する。  いや、そんなことあるはずがない。  確かに酷いことを言ったし、あの瞬間酷いことを願った自覚はあるけれど、これは偶然だろう。    けれど、偶然と思うには絶妙すぎるタイミングに、俺は思わず家を飛び出した。    昨日来た神社にたどり着くと、俺はいつもはそばで見ているだけだった手を清める作業などをしてから拝殿へ向かう。そして賽銭箱に財布にひとつだけ入っていた五円玉を入れると、梨花子の見よう見まねではあったがお辞儀をして手を合わせた。
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