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そんな俺の心の声が聞こえたのか、梨花子は合点がいったような顔をして口を開いた。
「あ、もしかして事故に遭ったことを心配して来てくれたの? 大丈夫だよ、検査してもらったけど軽い打ち身で済んだみたいだし」
一言で言うと、今回の事故で梨花子は大した怪我を負うことはなかったそうだ。不幸中の幸い、接触したバイクは大したスピードが出ていなかったようだ。
最初こそ梨花子は小型バイクとぶつかったショックで立ち上がれなかったために救急車で運ばれたらしい。けれど事故による目立った外傷はほとんど見られず、検査の結果からも何も異常は見つからなかったそうだ。事故直後に思うように身体が動かなかったのは精神的なものからきていたものだったようで、気持ちの方が少し落ち着いたらいつも通り動けるようになったらしい。
「何だよ、心配させやがって……」
「でも嬉しい。ゆーちんが私のことを心配して来てくれるなんて。毎日神様にお願いした甲斐があるね」
「はあ……?」
梨花子がいつも何を神様に願っているかは知らなかったが、俺がここに来たこととどう関係があるのだろう。
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