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すると梨花子はハッとしたように頬を赤くして、慌てたように両手を顔の前で振った。
「あ、あのね、ゆーちん最近だんだん冷たくなってきてたからね、何て言うか、ずっと一緒に仲良くいられるといいなとか思って、ね?」
「はあ……」
「けど、ゆーちんの言うとおり神様に頼りすぎるのもほどほどにしないといけないのかな。昨日はごめんね」
梨花子は眉を下げて申し訳なさそうにこちらを見た。
今、このタイミングで言うことか? とも思ったが、梨花子も昨日の俺の発言に何か思うことがあったのかもしれない。
「いいよ、別に。俺こそ悪かった。とにかく無事で本当によかった」
俺とずっと一緒に仲良くいられるようにだなんて、わざわざ神頼みしなくても、俺は梨花子のそばにこれから先もいるつもりだ。
さすがに自分の母親や梨花子のお母さんにあたたかい目で見守られる中、そんなことは口が割けても言えないが、そのうち梨花子のためにもちゃんと伝えよう。
今回の件で俺が学んだのは、冗談でも人に悪いことが起こるように願うもんじゃないということと、自分にとって大切な人は誰かということだったのだから──。
*END*
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