silly billy

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今日はとても楽しい夜になる筈だった。 研究もひと段落し、久しぶりに気の置けない昔馴染みと楽しく酒を交わしてふざけて笑って。 そんな夜になるはずだった。 なのに何でこんな事になってしまってるんだ。 いつも飄々と涼しい顔をしたまま帰る男がでろんでろんに酔っている。 そうだ、でろんでろんに。 おい、頼むから。 お願いだから起きてくれ。 side:二人の男を知る男 誘ってきたのは向こうだった。 珍しい事もあるもんだなと思ったと同時にやっと研究室から出られた解放感から、徹夜が続いていた為の眠気を堪えて二つ返事で了解した。 店に入るまではいつもと何ら変わりなく、オレ達はごく自然に飲み食いしていた。 この男があまり食べないのもいつもの事で、そこに酒を入れても酔わない事は立証済みだった。 なのに。 「なぁお前、酔ってるよな?」 「は?酔ってない」 「今日何か変じゃない?」 「変?何が?俺はちょっと酔うのもダメなのか?」 「ダメじゃないけど、ってやっぱり酔ってるんじゃん」 「・・・いや、俺は、ダメな人間なんだ」 「はい?」 「何でこんな事に・・・何で気づいちゃったんだよ!!」 「あーあー酒!こぼしてるから」 「ふ、はははははっ」 「おい、しっかりしろって」 「わかってる!だから必死で我慢してるだろ」 「・・・ちょっ、」 「何がだよ!俺はダメな人間だけどしっかり理性は保ってる!!!」 「・・・・・・」 「だからこうやってなんとかやってる、だけどおれは・・・・ぶつぶつ」 「・・・・・・」 机に突っ伏してがんがんと頭を打ち付けている。 オレは何時の間にこんなに飲ませた? いやいつもならこれくらいの量何ともないはず。 じゃあどうして今日は。 オレはこの男からの誘いを思い出した。 そもそも向こうから飲みに行こうなんて言葉を聞いた事がない。 何か話したい事があったのかもしれない。 酒を運んできた店員が酔い潰れた男の可笑しな様子をちらちら気にしている。 っていうか可愛いな。 いや今はそんな場合じゃないんだって。 どうにか動かそうと腕や肩を掴んでもてこでも動かない。 身長はオレと変わらないのに何処でどう鍛えたのかこの男の身体は鋼みたいに硬かった。 おい、どうすんの。 困り果てた末にとうとう最終手段に乗り出した。 後で嫌というほどネチネチ言われるのは想像出来たけれど背に腹は代えられない。 この男が正気を取り戻す相手はオレの知る限り一人だけだ。 オレは携帯を手にとって泥酔した目の前の男の名前のすぐ下にある名前にスクロールを合わせた。 友よ、すまん。
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