「神様 お願い」神に仕える髪PartⅡ

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2、森の中の家  あるところに、なぎとなみの兄妹がいました。  兄弟は、森の近くのお爺さんの家に 住んでいます。  兄弟の両親は、何処にいるのか 分かりません。  小さい頃にこの森の大きな木の下に 置かれていたのです。  お爺さんの仕事は、きこりでした。  毎日、森に入って木の手入れをしたり、 草を刈ったりしていました。  そんなある日、赤子の泣き声が遠くから 聞こえてきます。  お爺さんは、  「こんな森で、どうしたもんじゃろのう」と、首を傾げながら  泣き声の方に足を向けた。  聞こえる声が、大きくなってきた。  その泣き声は、大きな木の根本から だった。  そこには、布につつまれた赤ん坊がいた。  それも、二つだ。  周りを見渡しても、人の気配はない。  お爺さんは、赤ん坊を抱き上げて、  「よし、よし、よし」と、言いながら ゆすってやった。  すると、大声で泣いていた二つの赤ん坊は泣き止んだ。  「おお、おお、お利口だね」と、目を細めた。  「このまま、森に置いておく訳にはいかん。獣もおるし」と、言いながら  二つの赤ん坊を抱えて、家に引き返していった。  家には、お婆さんが居て、お爺さんが抱えている赤ん坊を見るなり、 「どうしたんですか、その赤ん坊」と、驚いた様子  おじいさんは、 「いや、いや、かくかくしかじかなんじゃ」と、言ってひと通り説明した。 「森の中に置いていくのは、よっぽどの事があったのかも知れませんね」と、お婆さん 「森の近くは、この家しかないから、そのうち、迎えに来るかもしれん。 どうじゃ、お婆さん、それまで、あずかることにしよじゃないか」 「いいですよ、お爺さん、そうしましょう」 老夫婦は、迎えに来るであろう両親を待ちながら、子育てをする事にした。 二人には、子供がいない。 出来なかったのだ。 これは、天からの授かりものかも知れないと心の片隅に思った。 「お婆さん、この子達に名前を付けてやらないと、いけんのう」と、お爺さんが言うと 「そうですね、見たところ名前が書かれているものは無いようですね」と、お婆さん 「何にしようかな、ふ~む、そうだ、なきとなみはどうじゃ」と、お爺さん 「それは、良い名前ですね。そうしましょう」と、お婆さん なきとなみは、双子の様で、男と女の一卵性だと思われる。 一目瞭然のあれが付いているのと、付いてないの違いだけだ。 「親はいなくても子は育つ」と、よく言ったもので、二人は元気に育っていった。 まあ、お爺さん、お婆さんが親代わりだから、これは当てはまらないかもしれないが。 歩けるようになると、二人はお爺さんに連れられて、一緒に森に行くようになった。 お爺さんが仕事をしている時は、二人で遊んでいた。 とても仲の良い兄妹だった。 お爺さんが、仕事をしている間は、二人で小枝を拾って束ね、薪用に持ち帰った。 それを、お婆さんはとても喜んでくれた。 「いっぱい取って来てくれたね、いつも、ありがとね」と、お婆さん 「うん、すごいでしょ」と、なきが言うと 「すごいでしょ」と、なみが必ず続けた。 「じゃ、これで美味しいごはんを炊きましょう」と、お婆さん 「やった~、やった~」と、二人は喜んだ。
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