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出会い
俺は高橋 幸太郎 高校2年生なった。
そして2年生の初日からクラス替えを見て俺は大いに落ち込んだ。
1年の時に仲の良かった友達たちみんなと俺だけ違うクラスへ離されてしまったのだ。
特に中学の頃から仲が良い石田直登と離されたのはキツい。
直登は落ち着いているというか安心感があり、1年の時には直登から発せられるマイナスイオンで守られつつ友達の輪を広げていけた感があった。
「な”〜お”〜と”〜」
と一緒に張り紙を見ていた直登にすがりつく俺に
「はい、はい、まぁ幸太郎ならすぐ保護者見つかるって」
と笑いながら頭を撫でてくる。お前のクラスにはダイキもヒトシもいるくせに。
別に俺は友達を作るのが苦手ってわけではないと思う。
若干人見知りをしてしまうから一から人間関係を作り上げるのは疲れるのだ。
だから昼飯なんかは直登の所へ行って食べていた。
あいつの周りには1年の時からの友達に加えて、すでに新しい友達が数人できている。
一緒にご飯食べてるうちに俺は自分のクラスより直登のいる3組の方がよっぽど居心地がよく感じた。
そんな生活が1週間過ぎた頃「なぁ」と声をかけられた。
俺の机の前まで来て、椅子に座る俺を真っ直ぐ見て声かけてきたこいつは蒼井 藍斗だ。
「何、蒼井?」
「いや、飯一緒に食べないか?」
え?
初めて誘われて嬉しいはずなんだけど、それが意外な人物過ぎてびっくりする。
ポカンとしてる俺に蒼井が困った様な顔になってきたのが分かって
「も、もちろん。食べよう!食べたい!食べたい!」
慌てて大きく返事してしまって今度は恥ずかしくなってきた。
そんな俺を見て蒼井はクスっと笑って俺の前の席に向き合う様にして座った。
「良かった。名前も知られてないんじゃないかと思ったけど知っててもらえたんだな」
「だってお前の名前全体的に青っぽいじゃん」
なんだそれと笑われるが本当は違う。
いや、本当に名前からそんな感想はあったんだけど、俺が蒼井を知ってたのはこいつが目立つからだ。
成績は良いし背も高いし清潔感もある。何より顔が良い。
入学してすぐに注目の的で多分学校の誰でも知ってる。
当初かなり女子に騒がれていたけれど、今それが落ち着いているのはなんとなく近寄り難い雰囲気を出しているためだ。
多分真顔がちょっとムッとして見えるのだ。それでも十分イケメンなんだけれども。
1年の時はクラスは違ったが体育の授業はこいつのクラスと合同だった。
オーラのある奴って無意識に目で追ってしまうんだと思う。
ふとした時によく目が合う気がして見過ぎない様にしていた。
そんな奴が真正面で俺と飯食おうとしてるって不思議だ。
こんな近くで見たことなかったがやっぱり整ってる。
「高橋いつも昼いなくなるから断られるかと思った」
「いや、それはまだこのクラスに仲良い奴いなかったから…」
「そうか。じゃあこれから毎日俺と食べればいいだろ」
「え?」
ちょっといきなりの提案にビックリしたが、蒼井は真っ直ぐこちらを見ていて、穏やかな雰囲気ではあるが決して冗談で言ってる風でもなかった。
至近距離のイケメンは迫力があるとか思ってる間に俺の口は「うん」て返してた。
俺の中の蒼井像よりも彼はフレンドリーで、その日は蒼井の方がよく話した。
というか俺は硬くなってあまり言葉を繰り出せなかったから、全体の会話量は大したことないと思う。
とりあえず俺たちは毎日昼飯を一緒に食べるってことと、名前で呼び合うってことが決まった。
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