その先

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その先

  「幸太郎…」 藍斗が甘い声で俺の名前を呼ぶ。 大切そうに藍斗に引き寄せられて、倒れ込む様に藍斗の胸に手を置いて口付けする。 この唾液の渡し合いもすっかり慣れてしまった今では、まるで1日のご褒美みたいにどこかこの時間を楽しみにしてる自分がいる。 態勢的に俺が藍斗に乗っかっている様な状態だから、俺の方から舌を伸ばし入れてみた。 舌同士を擦り付けてみたり、わざと藍斗の舌から逃げてみたり、何をしても藍斗は受け入れてくれる。 気がついたら俺は少し息が乱れるくらいこの遊びに夢中になっていた。 体温が上がってクーラーの効いた藍斗の部屋でも少し汗ばむ。 突然、藍斗の腕が動いた。 俺のTシャツの中に手を入れて、おもむろに腹を撫でてきた。 「んんっ!」ビクっと驚いて口を離す。 「細いな」ってそのまま腹や腰を撫でながら、今度は首筋にキスしてきた。 「やだ、藍斗!汗かいてるから」 藍斗は気にしないで、キスを鎖骨ら辺に落としてきた。 俺は居た堪れなくて「ほんと…おねがい」って藍斗の顔を両手で持って懇願したら、また深いキスをされる。 そしたら今度は体を撫でていた手が大きく動いて脇腹や胸の近くまで撫でてきた。 文句を言おうと思って顔をあげたら「キスに集中してろ」って先に言われて、何も言えないまままた口を合わされる。 しっかり触られたらそうでもないのかもしれないけど、力を入れないで体をなぞる様に動かされるとゾクゾクする。 しばらくそうやって我慢してたのに、藍斗の親指が俺の乳首を掠めて耐えきれず 「あっ」って声をあげてしまった。 割と大きな声を上げてしまったから自分で驚いてしまったし、乳首がツンとたってしまっていることも、顔が真っ赤なのもすべてが恥ずかしくて、もう涙目だ。 何より最悪なのは俺の下半身がスウェットの生地を持ち上げてしまっている。 藍斗の腕が一度そこに当たった気がしたからきっとバレてしまった。 今更だけど手で隠そうとしたら藍斗に抱きすくめられた。 「あぁ、幸太郎危ない」 藍斗が大きなため息ついた。 完全に藍斗の膝の上に跨る様に乗ったら、藍斗の心臓が飛び出そうなほど強く波打っているのがわかった。 …あと、藍斗は生地の厚いジーンズだからわかりにくかったけど、俺の股の間で藍斗のも硬くなっていた。 俺たちはゆっくり息を吐きながら、ドクドク鳴るお互いの鼓動が収まるのを待った。   少しして「危ないのは藍斗じゃんか」って言ったら 「ああ、獣になるとこだった」って素直に言うから笑った。
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