距離感

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距離感

 あの日から本当に俺たちは昼飯を一緒に食べている。 最初のスタイルが定着して、藍斗が俺の席まで来てくれるのだ。 ぎこちなかった俺も日に日に慣れてきて、今は藍斗が話題をふって、それからはほとんど俺がずっと話してる気がする。 ちなみに「なんで俺に声かけたんだ?」って聞いてみたら 「声かけたいと思ったのが幸太郎だったから」らしい。 答えになってるのかそれ。いいけど。 ただ、俺が話してる時に見せる真っ直ぐな目はちょっと苦手だ。 くっきりした二重の目は目力があって、この視線は見続けるには威力が強すぎる。 藍斗の癖なのか話してる時って相手をこんなにもガン見するものだろうか?  藍斗と友達になったことを直登もかなり意外に思った様だった。 でもなんだかんだ俺のことを心配してくれていた様で 「幸太郎もやっと俺から巣立ちか」 なんて冗談言って頭をわしゃわしゃ撫でてくる。 直登には年の離れた妹がいて、つい俺にも同じ様に接してしまうらしい。 「いや、お前の妹6歳だし。俺男だし。一緒にすんなよ!」って言っても 「ちょろちょろ俺の周りいるとことか、表情コロコロ変わるとことかお前ら同じなんだよ」 なんて言ってきやがる。慣れたけどな。 直登とは家の方向も同じだから登校はいつも一緒だ。 校門の所まできて 「あれお前の新しい保護者じゃないか?」 直登に言われて見たらこちらを見てる藍斗がいた。 「おはようっ!」 って手を振ったら無表情なまま 「あぁ」 とだけ返してさっさと行ってしまった。 いきなりの塩対応にポカンとしてしまう。 馴れ馴れしかったかな? 「お前の話聞いてなきゃ無愛想な奴に思うよなぁ」 「いつもはあんな感じじゃないんだけど…朝弱いのかなぁ〜はは…」 直登にイケメンと友達になったって自慢してた矢先だったからなんだからバツが悪くなったじゃん。 藍斗のヤツめ!
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