恋人

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「幸太郎、俺彼女ができてしまった」 直登の突然の告白に俺は驚いて、持っていたかばんを落としそうになった。 「えっ!いつから?」 「昨日電話してたら、向こうから告られちゃったーい☆」 相変わらずおチャラけるけど、いつもほどキレがない。 直登にとったら初めての彼女だ。 ふざけても恥じらいが丸見えだぞ! 「やっと直登も俺離れか!さびしーぞ、こら」 俺はとびきりの笑顔をした。祝福のしるしだ。 「バカやろう!にいちゃんに彼女ができてもお前はいつまでも俺の妹だぞ!」 「妹じゃないっつーのっ!」 直登が俺の頭ヘッドロックして頭わしゃわしゃにしてくる。 良かったな直登!大事にしてやれよ。 毎日同じ景色にいるから分かりにくいけど、俺たちは日々変化をしていってるんだよな。 今の時期は学校祭の準備で盛り上がっている。 うちのクラスの出し物は、プロジェクションマッピングと生徒のダンスを組み合わせた見世物になった。 映像作成チーム5人とあとの殆どのクラスメイトがダンスに分かれた。 俺は大看板担当。 立候補が出なく看板作成を誰がやるとなった時、選択美術のメンバーがいいのでは?と誰かが言い出した為、本当に美術が得意な女子4人と全然絵心のない俺と戸田がメンバーというわけだ。 「幸ちゃん!喉乾いたからコンビニ行っちゃおーよ!」 戸田はやる気がないわけでもないんだけど、やたら俺に付き纏う。 どうせまた彼女との話を聞いてほしいんだろう。女の子たちは白熱してデザインの討論をしてるから、少し抜けてもいいかな。 ちなみに藍斗は映像作成の方へ引っ張られていった。 さっきも全体ミーティングでテーマを話あったんだけど、最終的には藍斗が意見をまとめて進行していた。 俺には映像制作なんてどうやってやるのか検討もつかないけど、藍斗はそれをやっちゃうんだからすごいと改めて思う。 「幸ちゃん、なんだか寂しそうだね?」 「え?」 「ずっと寂しそうに見えるよ。元気出して」 確かに寂しいのかもしれない。 他で作業をしている藍斗は俺が知ってるあいつより、ずっと自立していて皆んなから頼られている。 それを見ていると複雑な気持ちになる。 コンビニで戸田がペットボトルと飴にチョコレートにクッキーにと袋をほいほいバスケットにいれるから、「そんなに食うの?」って聞いたら 「頑張ってる女の子たちにもお礼しなきゃね」という。 こういう所はなるほどと戸田を見直してしまった。
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