もう少し

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もう少し

 あれから俺たちはたまに俺と藍斗の話題にに触れる様になった。 不思議なことに、ついこの前までうざったく感じていたのに、今は理解者として俺は戸田に信頼を置いていた。 戸田はやはり俺たちのことを人に言いふらすつもりはなさそうだ。 加えてあいつの恋愛経験は俺にも参考になる様なならない様な、とにかく以前よりは関心を持って聞けた。  戸田が俺たちに気付いたということは、まだ藍斗には伝えていない。 今は忙しいし戸田が秘密にしてくれている以上問題もないと思うからだ。 藍斗は俺との接点が役割上少ないから「大丈夫か?」とか「困った事があれば言えよ」って心配をよくしてくれる。 そんなんで俺はすぐ嬉しくなる。 簡単に喜んだり寂しくなったりすると、今俺恋してる!って思うとすんなり受け入れられる様になってきた。 この気持ちは学校祭の準備を終えたらちゃんと伝えよう。 俺は心の中でそう決めた。  俺たちは大看板を終えて、今は千切り絵に奮闘してる。 刻々と残り日数も少なくなってきたから必死だ。 昨日久しぶりに教室の方へ看板チームで見に行ったら、ほとんどプログラミングもダンスも大まか出来ていた。 簡単にリハーサルしてもらったんだけど、すでにすごい。 情けない仕上がりにはできないと俺たちにも火がついている。 後半になるとクラスメイトがちょくちょく変わるがわる見に来てくれて、それも励みになったと思う。 藍斗もたまに来てくれたから、俺はついついはにかんでしまう。 それを見た戸田が「幸ちゃん、にやけてるよ〜」っていちいち耳打ちしてくるからもう勘弁だ。
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