警告

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警告

 一気に俺たちはそのまま階段を駆け降りて外まで出た。 俺は混乱していたけど、もうこうして多目的室を飛び出してしまった以上、今戻って藍斗の顔を見るのも気が引ける。 あの藍斗の雰囲気だ。 きっと変な勘違いをしているに違いない。 罪悪感と焦りで俺は戸田に 「もぉ、お前なんなんだよ!」 と怒りをぶつけた。 戸田はそんな俺をチラリと見て 「寿命縮んだかと思ったよ。面白くなってきたね」 と俺の怒りを無視して楽しそうに言う。 俺はそんな戸田という人間が理解できない。 やっぱり戻るべきかと引き返そうとしたら 「待って、幸ちゃん。少し歩きながら話ししようよ。お菓子も買わなきゃいけないしさ。」 と俺の肩に腕を回して言う。 俺は今こいつに不信感があるのだけど、戸田の意図も気になった。 不満ではあったけど大人しく戸田に従うことにする。 戸田はそんな俺に「ありがとね」って微笑んで肩を抱いたまま歩き出した。 玄関から出ても、戸田は口を開かなかった。 俺はなんとなく自分から切り出すのが癪で、戸田が話し出すのを待っているのに、いつもお喋りなこの男はなかなか話始めない。 機嫌が良さそうな足取りで、自分の鼻歌に合わせて俺の肩に置いた手でポンポンとリズムを取りながら歩みを進める。 校舎の前を横切り、校門を出た所で 「今ゼッタイ蒼井君、教室の窓から俺たちのこと見てたと思うよ」 俺の顔を覗きこみながら突然戸田が告げてきた。 俺はとっさに校舎の方を見たけど、もうここからは窓際の様子なんて見えない。 しかし玄関から校門までは多目的室からも教室からも良く見える。 まして逃げる様に出てきた後だから藍斗が見ていても不思議はない。 戸田の俺を試すみたいな目線がまた俺をカッとさせて 「いーかげんにしろよっ!」 って戸田の腕を振り払ったけど戸田はこの期に及んで 「まぁまぁ、落ち着いてよ〜」 って軽い調子で言うし、不気味にすら思えてくる。 流石に俺の様子に観念した様で戸田が苦笑しながら 「幸ちゃんの警戒心は女の子以下なんだよ。気が付いた? 女の子の方がよっぽどちゃんとしてるよ。普通自分が怒ってる相手に肩なんか抱かせない。 そういうお人好しなところが、幸ちゃんの良いとこなんだろうけど、前にも忠告したよね?気を付けないと大変なことになっちゃうよ」 俺が責められるの?突然饒舌になるものだから唖然とする 「しかも大人しく俺にやりたい放題されてるし、なんかもう可愛く思えてきちゃったよ!!どうするの!?俺がムラムラしてきちゃったらキスどころじゃないからね!るりちゃん!るりちゃんどうしよう!」 「……」 「まぁ、いいや。別に幸ちゃん責めたい訳じゃないんだよね。」
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