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 「幸ちゃんおめでとう。ちゃんとコンドーム付けてもらった?」 うわっ!!! 突然耳元で囁かれて振り返ると戸田がいたずらな顔して俺の背後にいた。 「やめろよ!」 「避妊は男のたしなみだよ。ちゃんとしなきゃね」 避妊って…。 ツッコミたいけど呆れて脱力してしまう。 というか、なんでこいつ知ってるんだよ? 「当ててあげよっか?振替休日にやったんでしょ。もう2人ともわかりやす過ぎ。」 今日は学校祭の後では初めての選択美術で、あれから数日経っていた。 元々戸田は藍斗がいる時にからんでくることは少なかったけど、あれ以来藍斗の圧に押されてこの時間しか話しかけて来れないらしい。 美術室に入ると先にいた女の子たちが「2人の絵も机に置いといたよー」と声をかけてくれて、俺たち2人は「ありがとう」って席に着く。 久しぶりに見る俺の自画像は、瞳孔の開いたゴリラみたいで、これを見られたのかと思うと恥ずかしい。 授業の最中戸田に小声で、俺と藍斗は何か変わったのか聞いてみると 「幸せオーラがすごいよね。あと2人の距離が完全にセックスしてるカップルの距離間だよ」 「カップルなんて大体距離近いじゃん」 「わかってないなー幸ちゃん。」と笑われた。 ちゃんと説明しろよ。 不安になってくるじゃんかよ。 「でも単体なら蒼井君よりも幸ちゃんの方がわかりやすいよ。もう男の子感がなくなった」 「男になった?」 「それもちがうな。少年と少女のあいだのエロい存在って感じ?」 もう何言ってるかよくわからないから放っとくか。 ゴリラ完成させないと。 「その感じだと優しくしてもらえたんでしょ?よかったね幸ちゃん」 そう言って戸田は俺の肩をポン、ポンってたたいた。 そこは本当にその通りで、あの後時計を見たらもう4時半過ぎだった。 つまりオレ達は3時間もベッドの上にいたらしい。 緊張が解けたのか急に瞼が重たくなって、簡単にティッシュで出したものやらローションを拭き取って、俺の帰る時間まで眠った。 実はその次の日も、学校終わり俺が藍斗の家に行くとまた求められた。 でも俺はもうテストの勉強をしたいからって断った。 始めてしまったらそれだけで1日終わってしまう。 あと本音を言えば、まだ肛門に違和感があって頻繁にはしんどい気がしたのもある。 素直に「わかった」って言った藍斗の背中が寂しそうだったから、週末なら大丈夫だと言った。 でもまだ不満気だから「一緒の大学行くんだろ?」って言うと、切り替わった様で今はまた俺のスパルタ教師になってる。
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