悩み

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悩み

 通学の途中で藍斗が合流しても、俺の頭はそのことばかりを考えていた。 「幸太郎、何かあったか?」 って藍斗が俺の顔を覗き込んで心配してくれたから 「なんでもないんだ」 って言いながらも、上手に笑顔を作れなかったと思う。 沈んでるわけでもないのに、集中できない一日だった。 授業だって、また藍斗に後で全部説明し直してもらわないといけないだろう。 俺はどれだけいつも藍斗に頼っているんだ。 学校が終わって藍斗の家に来た。 今日俺はこんなんだから勉強する気になれず一度断ったんだけど 「何も勉強しなくたっていいだろ?側にいたい」と言ってくれたからだ。 「映画でも観るか?」 藍斗がテーブルにお菓子とジュースを用意して俺の隣に座る。 俺がすぐに返事をしなかったから、藍斗が俺を抱き寄せた。 「何があったのか話してくれないか?」 「ごめん、まだ俺の中でまとまってないんだ」 藍斗は少し困った顔をして「そうか」と返事をした。 このままいてもお互い気まずい気がしたから 「…藍斗は将来のこと考えることある?」 と聞いてみた。 「将来?大学の後ってことか?その事で悩んでたのか?」 「それが全部じゃないけど、藍斗はどう思ってるのかなって」 「まだはっきりは決めてないけどな。 幸太郎との時間を大事にしたいから、在宅でもできる仕事を考えてる。今はネットがあれば場所は関係ないからな。人を使う様になっても指示さえ出せれば一緒に海外旅行しながらでもできる」 「自分で始めるの?」 「そう思っていくつか案はある。そのための投資もするだろうしいろいろやると思うぞ」 想像してたよりも遥かにスケールの大きな返答がきて、むしろ頭が回らなくなった。 ただ、少なくとも藍斗の描く未来には俺の存在があるらしい。 俺はもう考えるのをやめて藍斗にギュッとしがみついて「今日は抱いて欲しい」とお願いした。 「平日なのにいいのか?」って藍斗は確認してきたけど、今はとにかくこのモヤモヤを藍斗に消して欲しかった。 コクンとうなづくと藍斗は俺をベッドへ連れて行った。
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