保護者

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保護者

 それから定期的に藍斗の家に勉強を教えてもらいに行く様になっていった。 藍斗も俺の好きなチョコレートとポテチを常備する様になり、息抜きのためのDVD、更には制服だとくつろげないからと俺専用にスウェットの上下まである。 あの余計な物のない部屋に俺のせいで物が増えてしまって申し訳ない気もするけど、準備する藍斗も楽しそうだからこれも良いのかな。 藍斗は学校生活でも俺を甘やかしてあれこれやってくれるから、もう俺たちが一緒にいるのは当たり前になっていた。  直登の言う新しい保護者っていうのはなんだかその通りだなと思う。 直登もよく俺を気にかけてくれたから、俺は直登の近くに当たり前の様にいつも居た。 それが今は藍斗になった。 ただ直登の時との違いは、あいつは誰からしても良い奴で常に周りに人が集まるから、みんなでもわいわい話すことが多かった。 対する藍斗は人が寄ってきても素っ気ない態度をとる事が多い。 大人数で連むのが好きではない様だ。 だから学校でも俺たちは2人だけで居ることが多いし、周りの認識もそう定着してきた。  そんなこんなで少しずつ藍斗の事でわかってきたのは、あいつは意外と好き嫌いがはっきりしているということだ。 関わりがなくたって藍斗みたいなイケメンはよく告白されていた。 しかも相手はきれいな子ばかりなのにいつも断るのだ。 「試しに付き合ってみるとかないの?」 と聞いたら、興味ないとか時間が勿体ないと不機嫌そうに言う。 だから俺もあまりその話題はふれない。 藍斗が言うに俺は表情がよく変わって分かりやすいって言うけれど、俺からしたら藍斗も十分わかりやすいと思う。  同じ高校生でも恋愛に活発な奴と、友情を優先する奴と、両方を器用にこなせる奴がいると思う。 俺も藍斗も友情を優先するタイプなんだ。 俺に関しては本当は恋愛もしてみたいと思っているが、女の子と話すと変に上がってしまってダメだ。 そのうち俺がもっと大人になれば、きっとこの症状は治まる事を祈ってる。 今はこのままも楽しいから良いとしよう。
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