ミケランジェロ

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ミケランジェロ

 その次の日も俺の中でこれでいいのかなって疑問が拭えなくて勉強が進まず、気遣う藍斗に 「今日もするか?」と聞かれて、結局俺たちは学校が終わってから藍斗の家で身体を重ねた。 何か解決した訳でもないけど頭のモヤが薄れてきた気がしたから、これからは平日は勉強する様に戻す。 「落ち込んでるお前も積極的で良かったんだけどな」と藍斗は気にしてない様だけど、ちゃんと勉強しないとまた藍斗に迷惑かけちゃうからがんばらないと。 藍斗の肌の温もりで安心した俺は「藍斗の進路に俺の所為で影響が出てしまうのが不安だった」と打ち明けたが「そんなことか」と笑われた。 「幸太郎といる以外の選択肢なんてあるわけないだろ」と言われて、そんな藍斗が愛おしいと感じた。 美術の時間にいつも通り戸田が話しかけてきて 「幸ちゃんここ何日か元気なかったよね。何かあったの?」って心配してくれた。 戸田の意識が日常どこへ向いているのかはわからないけど、俺の変化にこいつはよく気付く。 俺は戸田に直登の言葉で、このままでいいのか悩んでしまったことを素直に打ち明けた。 「進路って大事だから俺のせいで藍斗の人生変わるのは嫌だなって思って」 「え、そっち?」 さっきまで黙って聞いていてくれたのに、突然戸田の雰囲気が変わった。 「そっちとは?」 「幸ちゃんの方は蒼井君のせいでいろいろ変わっちゃったって思わないの?」 「別に……成績とか?」 考えてみたけど、俺は藍斗にしてもらってばかりだから、変わったって成績くらいしか思い付かなかった。 「………」 「……?」 「ああ〜〜もうっ!!」 黙ったかと思ったら突然戸田が叫ぶから、机に乗せられた胸から上しかないミケランジェロに集中していた教室中の視線が俺たちに集まってしまった。 おじいちゃん先生もこっち見てる。 「なかなか上手く描けないからイライラしちゃったみたいで、すみません。」 はははって言い訳して特に怒られずに済んだけど、どうしたっていうんだよ。 俺が小声で「何デカい声だしてんだよっ!」っていうと 「幸ちゃん今日デートしよ。4時半に○○ビル2階のカラオケねっ。蒼井君は嘘でもついて巻いてね。絶対1人できてよ」と言い捨ててデッサンに集中し始めた。 「は?」って俺は文句言おうと思ったけど、戸田が怒ってる様に見えたから言えなかった。
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