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我慢
藍斗の家に着くなり、足早に藍斗に部屋の中へ押し込まれた。
勢いでベッドに座った俺に藍斗が床に膝を付いて、顔を埋めて抱きついてきた。
今日の藍斗は本当に参ってる様だ。
俺は旅行の反動だとわかっているけど、「どうしたんだよ?」って聞いてみる。
「…幸太郎不足だった」
もうすでに俺をチャージでもしてるのか顔を埋めたまままだ動きそうにない。
だから俺はそのまま藍斗の頭を撫でてやりながら会話する。
「俺たちずっと一緒にいたじゃん?」
現実本当にそうなんだ。
活動班も部屋割りも自由時間もあの4日間は普段以上の時間を過ごしていた。
「………」
もちろん俺は藍斗がそれでは満足できないのはもうわかってる。
藍斗は俺たちの時間に他人が介入するのは嫌なんだろう。
多分今は藍斗の中に思いっきりわがままを言いたい気持ちと、俺に嫌われないかと思う気持ちがせめぎ合って、こうしてだんまりしているんだと思う。
俺は最近藍斗を観察できる様になった気がする。
「俺は藍斗といろんな所に行けて楽しかった」
「今度は2人で行こう」
「そうだな。でもみんなで回ったのも楽しかっただろ?」
「………」
これはもうイジワルだ。つい藍斗で遊んでしまう。
「…俺は幸太郎だけでいい…」
藍斗は俺に甘い。
だからいくら不満があっても、それは俺を求める気持ちに変換されてひたすら俺をまた甘やかそうとする。
だから今日は藍斗がしたいだけ、俺の原型がなくなるくらい愛してもらおうと思う。
「今日は俺も藍斗だけ感じたいな」
その言葉が着火剤みたいに、藍斗が顔を上げてそのまま俺をベッドへゆっくりと押し倒す。
燃えてるみたいな熱い目で俺を見下ろして、キスを落とされた。
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