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藍斗と直登
「なぁーんか、蒼井に嫌われてる気がするんだよなぁー俺」
「気のせいだよ」と誤魔化したが、俺も藍斗は直登のこと良く思っていない気がしていた。
この前のジャージの件もそう。
藍斗は直登の名前を見てから明らかに機嫌が悪くなった。
しかも体育の後、藍斗は自分のジャージと直登のジャージどちらも自分が洗うと言いだしたのだ。
直登のは俺が洗うからいいって言ったんだけど、聞く気がない様でそのまま持って帰った。
直登がこうしてぼやくのは、きっと次の日藍斗が直登にジャージを持って来た時の事を言っているんだと思う。
「何か言われたのか?」と聞くと
「いや、『おい』って呼ばれてジャージ返されただけ。滅多に来ないイケメンが3組に来たから、女子の視線が一気に集まって凄かったな」
と困った様に笑う。
「藍斗は他人に無愛想な所があるから」と言うとすぐに直登に否定された。
「無愛想とかじゃなくてあれは敵意かな!目の奥にメラメラ燃えるものを俺は感じたね!」
続けて
「幸太郎の新しい保護者は独占欲が強そうだから気をつけろよ!」って言われた。
でも気をつけるって何に気をつけたら良いんだろう。
ホームルーム前、席に着いてボーっとしていたら隣の席の竹井さんが「ねぇ」と話しかけてきた。
クラス委員長の竹井さんは唯一クラスの女子でも、俺があまり上がらずに話せる人だ。
きゃあきゃあ騒ぐ感じじゃないし、フレンドリーだけど落ち着いている。
「私ね、蒼井君て誰かと連む印象なかったから幸太郎君とずっといる様になったの意外だったんだ。そして今は幸太郎君の保護者みたいじゃない?」
ふふふって笑いながら言ってきた。
突然話しかけられて直登に続いて竹井さんからまで保護者ってワードが飛び出すデジャヴに驚いて、どうしてだと聞いたら
「だって蒼井君、最近は移動教室の時手を引いて歩いてたりするじゃない?あと寝癖とか制服整えてあげてたりとか、見かけによらず世話好きだったんだね。」
そういえばジャージの件から藍斗からの接触が多くなってきた気がする。
腕を引かれるだけじゃなくて肩に手を置いて話したりとかも思えば多い。
俺自身はそんなに気にはしていなかった。
言われると他の人の目が気になってきて
「変かな?見てて気持ち悪かったりする?」と慌てて聞き返したら
「ううん、蒼井君本当に幸太郎君を大事にしてるんだなって思うだけだよ!気持ち悪いとか全くないから」
と返って竹井さんが慌てて否定した。
「2人ともきれいな顔してるし、体格差もばっちりだし目の保養だからそのままでいてね」
凄い笑顔でガッツポーズされたけど最後のは良くわからなかった。
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