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【 第二話: 満月の中で 】
『ババババ……、ババババババババ……』
『ドババンッ!! ヒューーーーン……』
「よぉーーし!! もう一機やってやったぁーーっ!!」
ワシは、夢中じゃった。
自分が撃ち落されるんじゃないかと、必死に相手のグラマン戦闘機を撃っていたんじゃ……。
今、思えば、本当に人として、残忍なことをしてしまった……。
あの落ちていった敵の戦闘機のパイロットにも、大切な家族がいただろうに……。
ワシは、幸運じゃった。
ワシの零戦は、撃たれることはなかったんじゃ。
確かに、操縦には絶対の自信があったのじゃが、まさか、敵味方の内、ワシ一機のみ残るとは思ってもみなかったんじゃ……。
気付いたら、日が暮れかかっておった。
しかし、ワシの零戦には、もはやラバウルに戻るだけの燃料が無くなっておったのじゃ。
「くそーーっ! 燃料が無くなってきている! やばい、高度も落ち始めているぞ! このままでは、ラバウルまでもたない! どこか不時着できる所はないか!」
『ブゥルルルゥーーーーンッ!!』
「あっ、あそこだ! あそこなら、助かるかもしれない! よし! うぉぉーーっ! 零戦よーーっ! もってくれぇーーっ!!」
『ブウゥーーーーンッ……』
「神様ーーっ!! お願いだぁーーーーっ!! 零戦よーーっ!! 頼むーーっ!! もってくれぇーーーーっ!!」
『ブウゥーンッ、ブン、ブン、ブンッ……、ザザザザザザーーーーーーッ!!』
「うわぁーーーーーーっ……!!」
ワシは、『ブーゲンビル島』というある小さな島へ不時着したんじゃ。
その日は満月で、落ちていくワシの零戦をその島から、見ておった女がおったのじゃ……。
それが、後のワシの妻になる『タマラ』という女性じゃ。
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