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本拠までの馬車の中、レオは一言も話そうとはしなかった。
一体どうしたのかとフィリスさんを見るが、彼は困ったように笑うだけで何も答えてはくれなかった。
本拠に着くと、再び強引に腕を引かれる。
早歩きのレオに殆ど引きずられながら辿り着いたのは、レオの部屋だった。
乱暴に扉が閉められたと思えば、その扉に勢いよく体を押さえ付けられる。
「っ、ちょ、レオ…!」
「うるせぇ」
咄嗟に抗議しようとした口を、柔らかいもので塞がれた。
至近距離にあるレオの顔に唖然としていれば、次には口内に入り込んでくる熱に瞠目する。
「っ、ん、ふぅ…ん…っ」
強引に舌を絡め取られ深く口付けられていると理解した時には、僕は咄嗟にレオを引き剥がそうとした。
しかし体を押さえ付ける力は強く、ろくな抵抗することができない。
それどころか交わされる濃厚な口付けに力が抜けてしまう。
後頭部に回された手が、一つに縛られたシオンの髪を解いた。
ハラリと降りる髪に指を絡め、レオは熱い吐息を漏らす。
次にはシオンを抱えるようにして移動し、ベッドの上へ彼を押し倒した。
シーツに広がる真紅の髪が月の光で美しく輝く。
息を乱し顔を紅潮させるシオンは、酷く妖艶であった。
そんな彼の上に覆い被さったレオは、次には性急にその衣類を剥ぎ取って行く。
「っ、いや…っ、嫌だレオ!やめて!」
身を捩るシオンに舌打ちを漏らすと、レオは腰のベルトを取り外しシオンの両手首を縛った。
それを柵のヘッドボードに繋げ、拘束する。
両手を頭上に上げた状態で仰向けになったシオンは、恐怖の滲んだ双眸でレオを見上げた。
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