罪の意識

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シオンがいなくなった。 そう本拠(ホーム)へ転がり込む勢いで帰って来たコルネはレオに報告した。 コルネのただならぬ様子を見かけて同行していたリトと、丁度執務室に訪れていたフィリスは、絶句し固まるレオに視線を向ける。 シオンがこんなことをしたのは、昨晩にあっただろうレオとのいざこざが原因だという以外に考えられない。 もしも怒っているのなら、きっとシオンのことだ、正々堂々レオに啖呵を切りに来るだろう。 しかしそうしなかったのは、きっと彼の中で考えが変わるような出来事があったということだ。 「団長、心当たりがあるんじゃないの?」 考え込むフィリスの隣で、同じ結論に至ったリトが単刀直入に尋ねる。 それにレオは眉間の皺を深めると、無言で席を立ち上がった。 「……さっさと探すぞ。今あいつに出歩かれると厄介なことになる」 「セシル・カルヴァートですか」 己の弟が所属する【レグルス】の団長がシオンに対して興味を抱いていることを、フィリスは薄々勘付いてはいた。 そして昨晩、苛立ちその場を後にしたレオを追った先で、レオがセシル・カルヴァートと何かを話している姿を見かけていたのだ。 あの会話はおそらくシオンについてのものだったのだと、事態を繋ぎ合わせる。 となれば、いつどこでシオンが【レグルス】の手にかかるか分からない。 今シオンが一人でいることは、極めて危険な状態だと言えるだろう。 「エイダは万が一あいつが戻って来た時、すれ違いにならないよう待機しろ。シオンは、俺たちだけで探しに行く」 「ほ、他の団員は使わないの…っ?」 「使わない。報告することも禁止する。事が大きくなれば【レグルス】のやつらに勘付かれる危険があるからな」 コルネの問いに答えながら、レオは扉へと向かう。 すると辿り着く前に外から扉が開かれ、レオは目の前の人物に僅かに目を見張った。
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