罪の意識

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「よぉ団長さん。なんだかウチのバカ弟子が反抗期だって?」 「……聞いてたのか」 「ずっと盗み聞きしてたわけじゃねえぞ?そこのちんちくりんが慌ただしく走り回ってたから、様子を見に来ただけだ」 後ろで「うぐ…っ」とコルネの呻き声が上がる。 弟子であるシオンが本拠(ホーム)を飛び出したことで、この男がどう動くのか分からなかった。 ジッとエヴァンを見つめるレオに、エヴァンは肩をすくめ、次には部屋に踏み込んでくる。 途端緊張が走る一帯。 コツコツと迷いのない足取りで進んで行ったエヴァンは、そのまま辿り着いた窓を開け放ち、身を乗り出した。 「サン!」 その呼びかけに、伸ばされた腕へと一羽の鷹が着地する。 一連の出来事を無言で見守っていた周りに向き直ったエヴァンは、片腕に乗ったサンを見遣った。 「コイツを使え。捜索能力は保証するぞ」 その言葉に一同は呆気に取られる。 罵倒の一つや二つされると思っていたが、協力を申し出てきたエヴァンにフィリスが戸惑いながら口を開いた。 「スミスさんも同行していただけるんですか?」 「いや、それはできない」 「え?」 またもや予想外の返しに困惑する。 エヴァンは窓から暗くなり始めた空を見遣り、肩をすくめた。 「じきに日が暮れる。残念ながら俺はちょっとした怪我で夜目がきかねぇ。同行したところで足手まといになるだけだ」 立ち尽くすそれぞれの顔を見回し、エヴァンは表情を引き締める。 そして彼にしては珍しく真剣な様子で、口を開いた。 「あのバカ弟子を、どうかよろしく頼む」
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