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「我々は団長の指示で動いているんだよ、可憐な姫君」
「っ、ハワードさん…」
「団長は君をお気に召したらしい。【黒の獅子】の弱みというのの他にも、何か理由があるようだった」
「ハワードさん喋りすぎです。団長に怒られるの嫌ですよ、僕」
気怠そうに制止をかけるパウエル。
シオンは徐々に強くなる警戒心に、無意識に腰を落とし、重心を下げていた。
全身がここにいてはいけないと告げている。
今すぐ彼らから逃げなければ。
以前の絡みがあったせいでつい気を許してしまったが、忘れてはいけない。
彼ら【レグルス】は、【黒の獅子】とは対立する立場にあるということを。
瞬間、その場から離脱しようとしたシオンの背後に新たな影が現れる。
それに気付いた時には遅かった。
首の後ろに衝撃が走り、次には意識が遠のいていく。
崩れ落ちる体を抱きとめたエリクは、意識を失った腕の中の存在を無言で見下ろした。
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