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「おいシオン。これやるよ」
「え?」
差し出されたものを覗き込む。
彼の小さな手のひらには、紅の石を紐で繋いだペンダントが握られていた。
その石の美しさに、シオンは目を輝かせる。
「すごい…、きれい…」
「だろ?お前の髪と同じ色だ」
「ぼくの…?」
言われたシオンは、訳が分からないというように瞬きを繰り返した。
自分の髪の毛とこの石の美しさが、どうしても重ならなかったからだ。
昔から、この赤髪を村の皆は煙たがっていた。
「不吉な血の色だ」
「不幸の象徴だ」
そう言われ、拒絶され続けた。
だから自分の髪の毛は穢れたものなのだと、ずっと思ってきたのだ。
「この石が…、ぼくと、おなじ…?」
「そう。シオンと同じで、きれいな紅色だ」
その言葉に、強く強く胸が締め付けられる。
嬉しかったのだ。
彼からそう言ってもらえたことが、どうしようもなく嬉しかった。
「レオ!だいすき!」
世界中の誰よりも大切な人。
ずっとずっと、僕はレオの側にいたい。
これから先も、ずっと──。
「……」
夢を見ていた。
幸せだったあの頃の思い出を、こうして時たま夢に見る。
頬を温かいものが伝った。
遅れて、自分が涙を流していたことに気がつく。
この夢を見た時はいつも、僕は涙を流している。
あの頃とは違った、胸の締め付けを感じながら。
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