The Spirits Fire

#122 原因と改善

サリーが突然倒れた原因……一言で表すとそれは貧血だった。

赤血球に含まれているヘモグロビンの濃度が著しく低下していたのだ。

所謂、鉄分の不足。

この症状の最大の要因は食生活だが、食事は常に国際警察が管理している為、それが原因かどうかは考えにくい。

何より、同じ食事を取っているルーシーが健康そのものである事が証拠だ。

おそらく原因は別にある……そしてその原因はサリー特有のものだ。

「あの時冗談で錬金術とか言ったが……割と核心突いてたとはなぁ……」

会議室でローランドは近くにいるジーナにそう言葉を投げる。

サリーの、機械を生成する力……それは錬金術と仕組みは大差なかった。

錬金術は卑金属から貴金属を生成する技術の事。

彼女も同様に、卑金属から自身の想像の中にいる機械装置を生み出していたのだ。

そして肝心の素材である卑金属は何かと言うと……それは彼女の赤血球に含まれているヘモグロビン。

少し前までは小さなネジやナットだった為に、必要なヘモグロビンも少なく、体調に影響はなかったが、先程は複雑な機械装置を生成したばかりに大量のヘモグロビンを消費……それで貧血に至ったのだ。