6人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「カパエルー!サミュエルー!」
「はぁ~い!」
「今日から、オニガワラさんはミカエル様の捜索にでかけられることになったから、シーサー君と一緒に遊んであげてね!」
「うわぁ、何日か見ない間に、シーサーくんはまた大きくなったんじゃないの?」
「んがぁぁぁぁぁ~~~~!!」
シーサーは立ちあがって両手で胸を叩く。
「……アンジェリーヌ…なんだか、僕、怖い……」
「そんなことないわ。
シーサーは生まれてまだ半年にもならない赤ちゃんなのよ。
よく見たら可愛い…はずよ、きっと……」
そういうアンジェリーヌは、シーサーを鏡越しに見ていた。
シーサーはのしのしとサミュエルのベッドに近付くと、微笑みよだれを垂らし始めた。
「ブー…うまそう!!」
「だめ!!シーサー!
この子豚さんは、サミュエルの大切なお友達なの!
食べものじゃないの!!
カパエル!シーサーを止めて!
メアリー、なんでもいいから早くシーサーに食べるものを…!!」
「は、はいっっ!!」
カパエルは必死でシーサーを引き止める。
サミュエルとぶーたんはベッドの中で抱きあい、青い顔で怯えていた。
「さ!シーサー様!
ステーキですよ!
子豚よりこっちの方がおいしいですよ!!
さぁさぁ!」
メアリーは、ステーキをちらつかせシーサーをおびき寄せる。
シーサーは、名残惜しそうにぶーたんを見ていたが、やがてメアリーのステーキの方へのしのしと歩いていった。
(危なかったわ…シーサーをこの部屋に置いてたら、いつぶーたんが食べられてしまうかわからない…)
アンジェリーヌは、シーサーがステーキにかぶりついている隙にぶーたんを庭のうさぎ小屋に連れて行った。
「ぶーたん、しばらくここで我慢しててね。
毎日、サミュエルと一緒に会いに来ますからね。」
「ぶひぃぃ……」
哀しそうな目をするぶーたんに手を振り、アンジェリーヌは城の中に戻った。
最初のコメントを投稿しよう!