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ミカエルは気付いてなかった。
自分の鼻息がやけに荒くなっていることに……
そんなミカエルに一人の店員が静かに近付いた。
「お客さん…良い所があるんですがね…
ご案内しましょうか?」
「……良い所?
どんな所だ?!」
「どんなって…言うなれば、この世のパ・ラ・ダ・イ・ス…ですかね。」
店員の顔に怪しげな笑みが宿る。
「パ・ラ・ダ・イ・ス…?
ほ、ほ、本当なんだろうな!!」
「もちろんですとも!
多少、こっちの方はかかりますが、間違いなくパラダイスですぜ…」
店員は、親指と人指しで丸い形を作って示した。
「わかった!金ならある!連れてってくれ!さ、早く、早く!!」
「お客さんも好きですねぇ……」
店員はにやけた笑顔で、ミカエルを店の奥に案内した。
店の奥のカーテンを開けると、そこには扉が隠されており、その先には細長い螺旋階段が繋がっていた。
「さぁ、ここが天国への階段です。
どうぞ、楽しんで来て下さいな。ひっひっひっ……」
カンカンカン…
ミカエルは、期待に胸を膨らませながら、天国への階段を上って行く。
少し錆びついた金属の階段はけっこう長いものだったが、ミカエルは疲れ等少しも感じない。
この先に待ちうけるものを妄想して夢心地だったのだから……
(パラダイス…ここだな!)
階段を上りきった所には、金色の天使のわっかが描かれた真っ白なドアがあった。
ドアには「パラダイス」と描かれた小さなプレートがかかっている。
(う~、わくわくするぜ!一体、どんなパラダイスなんだろう?!)
ミカエルの頭の中は妄想ではちきれんばかりになっていた。
高鳴る胸を押さえつつ、ミカエルはそのドアを開けた…
「いらっしゃいませ~~」
「おおおおおおお~~~!!」
そこに並んでいたのは、ナースに女子高生にメイドにCAに女王様……
「うぉ~!!
皆、若くてべっぴんじゃないか!!」
期待を上回る出迎えに、ミカエルの鼻の穴からは一筋の赤いものが流れた。
「いらっしゃいませ。
コスクラ・パラダイスへようこそ!
お客様、ご指命はどの子になさいますか?」
「え…え…え…
どうしよう、皆、こんなに可愛いのに……
あぁ~、迷う!迷う!決められない!!
ええーーい!みんなまとめて指命するぜ~!!」
ミカエルは、テーブルに案内され、たくさんのコスプレキャバ嬢に囲まれた。
ガーラと結婚して以来忘れかけていた至福の時……
ミカエルは、まさに天にも上る気分を味わっていた。
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