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(あぁぁぁ…やっちまった。
おやじ達からあずかってきた出産祝いの金、ほとんど遣っちまった…
こうなりゃ、なにがなんでも作戦をうまくやって、出産祝い所じゃない状態にしねぇとな!
早く、魔法使いの衣裳を…ん?そうだ!!
なにもそんなことしなくても、俺が目撃者になりゃ良いんだ!
「今、こんな格好をした魔法使いが逃げていった!」そう言えば良いじゃないか。
ふふっ…ひさしぶりにかわい子ちゃん達と楽しんだせいか、頭も冴えてるぜ!)
ミカエルは、上機嫌で鼻歌まじりにフィンラの城へ向かった。
*
「もう~~~!!まだなの?
まだ、ミカエルはみつからないの?!」
「あ…あの…今、懸命に探してますからきっともうすぐ…
あ!そうだわ!オニガワラさん、もう一度、朝食を…!!
ほら、シーサーもおなかがすいたような顔してますわ。」
「そうね…確かにまたおなかが減って来たわ。」
「じゃあ、すぐに準備させますから!!」
「本当にシーサーは良く食べるね。
サミュエルは、ミルクしか飲まないし寝てばっかりなのに……」
カパエルは、傍らの小さなベッドですやすやと眠るサミュエルに悲しそうな視線を落とす。
「当然よ!
うちの子は、あんたの子よりいろんな意味で優秀なのよ。」
「そうだね。
やっぱりオニガワラさんがすごいから、シーサーもすごいのかな?」
「ま、そういうことね。
それより、この子はなんで手鏡なんて持ってるの?」
「なんでか知らないけど、サミュエルは鏡が好きなんだ。
よく鏡を見て一人で遊んでるよ。」
(ちっ、ナルシストなガキ!感じ悪…)
ガーラは、鏡に向かってにこにこと微笑むサミュエルを冷たい目で一瞥した。
「オニガワラさん、お食事の用意が出来ました。
食堂へどうぞ!
じゃあ、カパエル、私は警護隊の所に行って来るから、サミュエルのこと、ちょっとよろしくね!」
「はぁ~い!」
二人は部屋を出て行った。
カパエルは、眠るサミュエルのベッドの横で長椅子に座っているうちに、いつの間にかうたた寝をしていた。
騒がしいガーラのせいで、昨夜はほとんど眠れなかったせいだ。
その時、音もなく部屋の窓が開いた……
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