泡沫の願い

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璃桜がお風呂に行っている間に、と思って押しかけた副長室。 「土方さん、ちょっといいですか?」 「璃桜なら風呂だぞ」 そう言って面倒くさそうにこっちを振り向く鬼の副長こと、土方歳三。 文机の上には相変わらず大量の紙が散らばっていて、今も何か作業をしていたんだろう事を窺わせた。 「だから来たんですってば」 くっ、と喉で笑いつつそう言えば、疑問符を頭の上に浮かべたような表情で座布団を差し出してくれた。 「で? なんだよ、隊務のことか?」 「はー」 「……何で溜息つくんだよ?」 「だって、俺、わざわざ璃桜のいない時間を見計らってきたんですよ?」 「……璃桜のことか」 面倒くさそうな表情は変わらないまでも、頬杖をついていた腕を膝の上に降ろして、土方さんは俺を見る。 今ちょっと“璃桜”って名前に動揺した癖に。 なんでもない風を装っちゃって。 土方さんとはもう10年以上の付き合いで、ずっと一緒に行動してきたようなもんだから、少しの反応で相手の気持ちがわかってしまう。 こうやって分析している今も、きっと土方さんには俺の考えていることがばれているんだろうな。
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