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そう思った瞬間、鬼の副長は口を開く。
「余計なことは考えんな、くそ餓鬼」
「あは、ばれました?」
「何年の付き合いだと思ってんだよ」
ほら、ね。こうやって、言葉にしなくたってわかっちゃう。まるで、歳の離れた兄弟みたいに。
だから話に来たんだ。
「訊きたいことがあって」
俺の声色の真剣味に気付いたからか、じっと見据えてくる漆黒の瞳も真っ直ぐになって。
俺は息をするように言葉を落とした。
「璃桜を、大切にしてくれますか?」
「は?」
これからする話は、俺の、決意。
遠くで喧騒が聞こえる。けれど、この場所は酷く静かで。お互いの呼吸が聞こえそうな程だった。
「璃桜は、俺の大事な人なんです」
「ンなこと知ってる。おめぇの大事な大事な妹様だろ」
そう、彼女は、俺の“妹”。
けれど、本当は。
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