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何、この天然記念生物。可愛すぎる。
言った言葉に急に恥ずかしさを覚えたようで、璃桜の頬が一刷毛朱に染まる。
「……見すぎ」
「可愛い」
「また、そういうこと言う!」
もっと赤くなった頬を両手で挟むようにしながらこちらを睨んでくる璃桜に、理性のタガが外れそうになる。
そうやって、キミは俺を困らせる。
俺は、キミの“兄”なのに。
「……ねぇ、一緒に出かけてくれないの?」
ああ、もう。
非番でごろごろしようと思っていたけれど、そんなお願いされたら、行くっていう選択肢しか頭の中に浮かばないよ。
でも、普通に了承したら、つまらないでしょ?
「……どーしよっかなぁ」
1回渋って見せるけど、どうせ璃桜はすぐ拗ねちゃうから。
「そうちゃんのバカ、もういいもん」
ほら、ね。
「しかたないなぁ」
「やった!」
ぴょん、と跳ねそうな勢いで喜ぶ璃桜に、知らず知らず、微笑んでいた。
ああ、自分は、こんなにも璃桜に幸せをもらってるんだ。
俺も、璃桜にあげられてるかな。
なんて、陳腐な台詞が浮かんでしまったのは、ここだけの秘密。
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