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「誰に、あげるの」
「そうちゃん、しつこい」
璃桜はちょうどお腹がすいていたのか、新しい甘味処に行きたいと俺を誘ってきた。
小腹を満たし、一息ついたところで俺はまた嫉妬の気持ちに囚われていた。
「………どうせ、土方さんでしょ」
「………っ、だ、だって、部屋に居候させてもらってるし」
しどろもどろに言い訳を始める璃桜を見て、浮かぶのは黒い気持ち。
どろどろと、自分を包む。
璃桜を独り占めしたい。
柔らかい髪も、長いまつ毛も、薔薇の蕾みたいな唇も、潤んだ茶色がかった瞳も、全部自分だけのものにしたい。
そう思うのは、罪だろうか。
ああ、だから神様は、俺から奪っていくのか。
残された時間は、あとどのくらいなんだろう。
未来がわかる璃桜が傍にいるから、だからこそ、不安になる。
璃桜は素直だから、残り時間が少なくなってくるにつれて、きっと、隠せなくなってくるだろう。
そうなったとき、俺は、正気でいられるんだろうか。
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