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「………ごめん」
いきなり謝った俺に、きょとんと首をかしげる。
そんな璃桜をくるり、回れ右させる。
「え、そうちゃ、」
「黙って」
璃桜の後頭部の髪結い紐を解く。
さら、と髪が手から零れる。
「何す」
「……ちゃんと綺麗にしてあげるから」
自身の懐から出した、輝く簪で、柔らかい髪をそっとまとめていく。
「え、何、そうちゃん、これどうなってんの」
「………秘密」
意趣返し。
そうでもしないと、その可愛さに、こっちがやられてしまいそうだから。
璃桜はそっと自身の頭に手をやり、簪が刺さっていることに気が付く。
ゆるゆるとキミの口角が上がって。
「……そうちゃん」
「ん?」
「本当は、屯所に戻ってから渡そうと思ったんだけど」
じゃーん、そう言って出したのは、先ほど見ていた、紺碧の髪結い紐。
「腕出して?」
「え」
「いいから」
「それ、土方さんのじゃ……?」
「ううん、……そうちゃんのだよ」
なかなかうまく巻き付けられずに、苦戦しながら、璃桜は言葉を紡ぐ。
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