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「それで、ミカエルは結局みつからないままなのかね?」
「ええ、その通りです。
フィンラの国にはもういないようです。」
「しかし、こっちにも帰って来てはおらん…」
「一体、なんて人なのかしら!
私達を置いていくだけでも酷いけど、この国のこともほっぽりだしてしまうなんて…!」
オニガワラの顔が怒りのために真っ赤になった。
それを見てまるで赤鬼だと感じたのは、ルーファスだけではなかった。
「あいつは確かにいいかげんな奴だが、この国のことはそれなりに考えていたと思うのだがな…」
国王は顔を曇らせた。
「そんなことおっしゃっても、現にミカエルはこうして国を捨ててどこかへ行ってしまったんですから!」
「……もう良い…
あとのことは私がなんとかする…」
その場に気まずい空気が流れ、オニガワラは部屋を出て行った。
「……やはり、この結婚は間違いだったのかもしれん…
アンジェリーヌほどではなくとも…せめて人並みのルックスの女と結婚していれば、こんなことにはならなかったかもしれんな…
ルーファス、おまえはどう思う?」
「そうですなぁ…
オニガワラ様のブサイクは、超ド級のブサイクですからなぁ…
しかし、これもまた運命だったのかもしれませんな。
酒の上での過ちとはいえ、子供まで出来てしまったのは神のご意志としか思えません…」
「やはり、そうか…
では、このままミカエルが戻らなければ、あのシーサーがノルディーナを継ぐ事になるのだな…」
国王はそう言って、がっくりと肩を落とす…
それから、数日後、誰もが予想しなかったことが起ころうとは、この時はまだ誰も気付いてはいなかった。
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