After story/カプチーノとカフェオレ

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小さく頷いて席を立つ。 時間が経つのはあっと言う間で、それは寂しいこと かもしれないけど大丈夫。 だって、あの時と違って今は帰る場所が同じ だから。 だからもう寂しくない。 お会計を済ませた奏さんは、ごく自然に私の右手を 拐う。 それに答えるようにそっと指を絡ませれば ぎゅっと握り返される右手。 ドアを開いた先には綺麗な茜色の空が広がって いた。 今の私達は雨がなくても、寄り添って帰ることが 出来る。 なんて贅沢なんだろう。 あの時の私には、きっとこんな未来は考えられな かったはず。 「いつか3人で食べに来たいね。」 お店を出る瞬間、ふいに囁かれた言葉に思わず顔を 上げた。 そこには楽しそうに笑う奏さんが居る。 その言葉の意味を理解した私は顔が熱くなっていく のを感じた。 「はい。」 恥ずかしくて、とても顔を見ながらなんて出来な かったけど、ちゃんと返事をする。 ───いつか3人で。 それは遠い未来なのか、それとも近い将来なのかは 分からない。 だけど、早くその日が来るといいなって心の中で そっと願った。
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