孫とばあば

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「いい? 神社についたらね神様にお願い事じゃなくていつもありがとうございますって伝えるんだよ」 「あい! わかった!」 「それからね、真ん中は神様の通り道だから端っこを歩くこと」 「あい!」  町はずれの神社でおばあちゃんとその孫が手をつないで歩いてきました。最近は参拝者も減ったから、神はにこにこして社から見守っています。 「ここは手水舎(ちょうずや)って言うんだよ。おててを綺麗にしてから神様に挨拶しようね」 「きれいきれいするー」 「はい、上手だね」 「ちめたいー」  社の前の階段を一生懸命上る様子に神も思わずほっこりします。立派に挨拶出来たら知恵を授けよう、勉学の神はそう思いました。 「はい、神様の前に来たよ。どうするんだっけ?」 「うんとねー、ててをねパンパンして、ペコペコってする!」 「そうだね。ニ礼ニ拍手しようね」 「うんしょ、うんしょ。パン、パン」  ここまで順調です。さあ、元気よくお名前を言えるでしょうか。 「わたしのなまえはかんざわかなです、よんさいです! ゆめはせかいせいふくです!」  勉学の神は知恵を与えるのはもう少し後にしようと、そう思いました。
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