独りぼっちの執筆

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 誰かと交流しなきゃ、上位に行けないし、コンテストも受かれないの?  流石にそれは嫉妬が起こした偏見だ、と頭でわかっていても、その気持ちがどうしても抜けなかった。 「交流……か」  しなければいけないのだろうか。  そう考えた瞬間、頭に過ったのは『読まない』と言って自殺した大親友の姿だった。思わずぎゅぅっと下唇を噛みしめた。  アカウントを飛んでいる間に見た上位者の様子を見る限り、『心のない言葉が浴びせられる』というのも付き物だと知ってしまった分、余計に私は苦しくなった。まるで自分がけなされた気分に陥るほど、きつい言葉が溢れていた。  読んでほしい。目立ちたい。  だけど、マイナスな言葉はいらない。ただでさえ死にそうな心をナイフでえぐるようなことをしてほしくない。  ……でも 「読んでほしいなら、それ相応の覚悟も、いるよね」  何もせず筆をおいて書くのをやめてしまうより。  辛くてもしんどくてもやれるだけのことをやって足掻きまくってからやめたい。 「よし!」  パン!、と力強く両頬を叩いた。  そして、改めてパソコンの画面に向き合い、ティート登録の画面を開いた。それだけで、全身に妙な緊張が走り、手に嫌な汗が滲んだ。これが拒否反応、とでもいうのだろうか、と私は苦笑する。 「嫌なことに向き合わなきゃ……いいもんなんかできないよね」  そう自分に言い聞かせて、私はティートの登録ボタンをクリックした。
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