初めての友達

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 まだ始める前なのに、人気者になったら苦労する一つの点を理解できた気がした。 「見てもらえる、ていうのはこういうことなんだ」  一人一人の読者を大事にする。  けれど、その行為は自分の時間を削る行為でもある。 「だから、返さない人がいるんだ」  何度も、思った。たくさんコメントを貰っている人気の作家が、全くコメントを返さないことに『私だったら返すのに』って。  きっとその作者は、『ファンへのサービス』と『執筆の時間』を天秤にかけて後者をとったのだろう。  私は―― 「どっちも、とりたい」  だから、私は。読んで、勉強して、そして一人一人の物書きに丁寧に向き合って。  私のレベルを上げてやる。 「えっと、一番目は……」  一番最初に来た作品をクリックした。作品に対しての丁寧な紹介文つきのお願いのコメントで、とても好印象をもてた。 「わ……あらすじも丁寧。すごく読みたくなる。あ、この人、読者全員にコメント返してる……アンチコメントにも丁寧だ。わわ、すっごく読まれてる。あれ、これもしかしてランキング上位の人!?」  ランキングを確認して、一気に緊張が体を駆け巡った。  トップバッターがまさかこんな大物の人とは。  いや、でもこれはラッキーなんじゃないかな。  優れたランキング常連者の小説を読んで勉強もできるし、うまくいけば私の記事も拡散してもらえる。 「~~……!!」  パシン!
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