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夏休みはずっと書いて、出来上がったらすぐ読んでもらっていた。
投稿サイトでは全く読まれなかったけど、面白い!、と褒めてくれて、続きを今か今かと待ち望んでくれている彼女の存在があったから、私は全く気にならなかったし、そもそも閲覧数を確認することもしていなかった。
たった一人の読者の為に、そして、読んでくれた時の嬉しそうな反応がすぐにまた見たくて、一生懸命書いた。読んでくれた後のことを想像するとたまらなく嬉しくて幸せで、病みつきになっていたんだと思う。
例え他の人に読んでもらえなくても、彼女さえいれば。
そう、思っていた。
……けれど、やっぱり。
現実って言うのは、そううまくはいかない。
充実した毎日を過ごし続けて時が経った、冬。
いじめで、大親友は不登校になった。
きっかけはわからなかった。というより、いじめられていたことすらも気づかなかった。
いじめ内容が『軽い無視と仲間外れ』と目立たないこともあって、当事者以外誰も気づかぬまま、些細とは言い難いいじめで心に傷を負った彼女は外出すらもしなくなってしまっていた。
気づけなかったことに私は酷く悔しく、悲しんだ。クラスが違っていたのだから、そもそも気づくというのが無理な話なのだが、私は「私がもっと彼女をちゃんと見ていれば」と心の底から悔やみ、この時小説のことで浮かれてばかりいた自分を恥じた。
けれど、それでも大親友は。
こんなあんぽんたんな私の小説を読んでくれていた。
「だって、続きが楽しみなんだもの」
この一言に、どれだけ救われただろうか?
「そう言ってくれるからいっぱい書けちゃう!」
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