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独りぼっちの執筆
「読者一人、か……」
画面の前でアクセス数を確認した私は、盛大なため息を零した。
「それでも……0より、マシ、か」
たった一人。
されど一人。
「欲張りになっちゃ……ダメ」
実力不足なんだから。
そう自分に言い聞かせながら私はそっとパソコンを閉じた。
早くに結婚して子供を産んだ私の息子はもう小学生。仕事をしていない私は子どもが帰ってくるまで暇ができたこともあり、昔楽しくて仕方がなかった小説執筆に手を出していた。
あの頃は彼女が読んですぐに感想をくれたおかげで満たされていた承認欲求。それが当たり前になっていた私にとって、投稿しても投稿しても、読者数が0かもしくは数人程度で、かつ反応が一切ない現状は耐えがたいものがあった。
自分の力不足だ、と思うものの、何度読み直しても『やっぱり私の作品は面白い』と思わずにはいられず、自分の作品より面白くなさそうな小説の方が読まれていることに腹を立てずにはいられなかった。
試しに色んな掲示板に宣伝してみたが、他にも宣伝する人がいっぱいいるためにすぐに埋もれていき、自分の作品が日の目を見ることは全くと言っていいほどなくて心が折れそうになっていた。
それでも、書きたくなってしまう。
頭の中に出来上がった物語を綴りたくなってしまうのだ。
「読まれないのに書きたくなるのは……なんでなんだろうねぇ」
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