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幸せになりたいです
学校でのいじめ。両親との不仲。私は生きる意味をなくしていた。友達もいないし、頼れる人もいない。
そんな私が唯一心を落ち着かせることができる場所は、近所の古い神社だった。そこは、私以外ほとんど誰も来ない。一人になるにはうってつけの場所だった。いつも私はそこで一人、泣いていた。誰かに話を聞いて欲しくてお賽銭を入れた後、長々としゃべってた。
今日、私は死ぬことにした。あの、お気に入りの神社で。
私は死ぬための道具を持って、神社に向かった。
雑草がたくさん生えていて古びたこの神社にはやはり誰もいなかった。
「最後にお参りしとこうかな」
鈴を鳴らして手をあわせる。
「来世では幸せになれますように」
本当に心の底からお願いします。
よし、お参りも終わったし、死のう。
私がそう決意し、バッグのなかに手を入れると、
「毎日ここに来てくれてありがとう。ねえ、死ぬのやめて僕の友達になってよ」
と、白い髪の少年が言った。彼は、今時珍しい着物を着ていた。
「なんで、私なんかと……。あと、あなたって……?」
「僕はこの神社の神様だよ。ずっと、暇だったんだ。暇すぎて死にそうだったとき君が毎日ここに来るようになったんだ。だから、死なないで。僕と友達になって」
「私なんかで良かったら……」
「本当!! うれしい!! じゃあこれからもここに来てね。僕で良かったらいくらでも話聞くから」
彼は、嬉しそうに何度もジャンプした。
彼の言葉に私は返事をするのが精一杯だった。
気づくと私は泣いていた。
彼は、私が泣き止むまで背中をさすってくれていた。
もう少しだけ頑張ってみよう。私はそう心の中で呟いた。
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