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残業
深夜。もはや終電もなく、1人寂しく残業をしている1人の青年。
納期を間近に不具合が起きてしまい、担当持分の自分が修復に当たっていた。だが、どこをどうしても何故こうなったのか分からず、あっという間にこんな時間だ。
「もう終電ねぇじゃん……。」
シーンとするオフィスに自分の声だけが響いた。なんとも寂しい時間。
「あれ?まだ居たの?」
「……間宮。こんな時間になんだよ。」
声をかけてきたのは同僚の間宮。
「那須が残業してるって聞いてね、様子見に来た。」
「余計なお世話だ。」
間宮と那須は同期入社で何かと比べられる。だが、間宮の方が仕事をこなすスピードも商談の数も上。つまりは仕事の出来るやつ。例に漏れず、毎度嫌味のように自慢してくる嫌な奴だ。
「そんなに怒らないでよ。せっかく手伝おうと思ってきたのに。はい、これ差し入れ。どうせご飯食べてないんでしょ?」
この物腰柔らかな喋り方と気の使える所と見た目で車内の女子は間宮に夢中。女の数でも圧倒的に負けている。嫌味でしかないといらだちすら覚える程だ。
「で、どこがわかんないの?」
差し入れの袋を手渡され、那須の隣に座り画面を覗き込む。
間宮の助けなど借りたくは無かったが今は忙しい時期だ。こんな事で仕事を滞らせたくなかった那須は素直に答えた。
「……これなんだけどな。」
「はぁ、なるほど。コレね。これは……ちょっと前の方に戻って……あぁ、あった。これ、この打ち込みが違うからエラーになってるんだよ。」
「まじか……」
間宮はあっさりと原因を突き止め直してしまう。あまりにもスムーズ過ぎて驚いていると「こんなのも分からなかったの?」と小馬鹿にしたように言った。
「うるせぇ。」
貰った缶コーヒーを開け一気に飲み干す。
「まったく、お酒じゃ無いんだからさ。ゆっくり飲みなよ。」
「俺の勝手だろ。」
何でもそつ無くこなしてしまう間宮に苛立ちを覚え、ついキツく当たってしまう。
「はぁ〜ほんと、君って単純。」
「なに?」
「すぐカッとなるし、僕の事敵対視してるのも顔に出すぎ。分かりやすいよね。」
「ケンカ売ってんの?」
間宮を睨みつけるも、怖気付く様子は全くない。むしろ……
「あ、おい何して……っ!」
おもむろに伸ばされた手がスラックスの前をさわさわと蠢く。
「何って……残業手伝ったお礼してもらわないと……」
怪しく微笑んだ間宮は妖艶で色気を帯びていた。那須の足元に膝をつくとそのままベルトを外しスラックスの前寛げる。
「やめ……」
「なんだ、ちょっと勃ってるじゃん。疲れラマってやつ?」
「るせ……あっ、まて待てって!!」
那須の制止も聞かずにほんのり反応を見せているソレをなんの躊躇いも無く口に含んだ。
「ここっ、どこだと思って……つか、汚ぇから、離せ。」
「別にいいじゃない。気持ちよくしてあげるよ?」
口を離すと唾液の糸がツゥーと伸びた。間宮の唇は唾液に濡れ怪しく光っていていやらしさが増している。
「ね、お礼なんだから僕の好きにさせてよ。」
長く白い指が艶めかしく絡みつき那須のソレは更に硬さを増した。
「ふふ、体は正直だね。僕の手気持ちいい?」
「しら、ね……」
「ふーん、じゃぁ口の方がいい?」
間宮はまた那須の性器にしゃぶりついた。
じゅぷじゅぷとわざと音を立てて舐めしゃぶる。
「うっ……あっ、くっ……ま、みや……っ」
間宮の口腔内は熱く、舌が絡む度にいい所を刺激される。
視覚から聴覚から感触から刺激され那須は呆気なく間宮の口の中で果ててしまう。
あまりにもあっさりと男の、しかも同僚の口の中で射精してしまった事に戸惑う。
「んっ……」
ゴクリと喉を上下させてからべっと舌を出して見せる間宮。
「飲んだのかよ……」
出したはずの精液は跡形もなく消えていた。
「濃くて美味かった。」
「んな事きいてねぇ。」
「溜まってたの?」
「お前に関係ないだろ。」
仕事が忙しく、女を作るどころじゃなかった那須。女っ気がない訳では無いが、どうも長続きしない。
「まぁね、どうでもいいかな。それよりさ、もっと気持ちいいこと、シたくない?」
「は?」
間宮は立ち上がって自分のスラックスを脱ぎ捨てデスクに手を着いて臀を那須に向けて高く上げた。
「な、にを……」
「那須の舐めてたら欲しくなっちゃった。ねぇ、入れて?」
フリフリと腰を振って誘う間宮。その顔は赤らんで発情している事が一目で分かった。
「ね、気持ちよくしてあげたご褒美ちょうだい?」
欲望を孕んだ目で見つめ、誘う間宮。さっきは残業を手伝った礼、今度は気持ちよくした褒美だと言う。
「ね、一緒に気持ちよくなろうよ。」
「でも……」
躊躇う那須に追い打ちをかけるかのように間宮は片方の手で自分の臀を広げて見せた。
「大丈夫だよ。慣らしてあるから。それとも男同士はいや?」
開かれた隙間からヒクヒクと誘うように蠢く後孔。那須はそれを見せられ、下半身にまた熱が集中するのを感じた。
「ほら、勃ってる。おいで?」
「……くそっ」
那須は小さくつぶやくと誘われるままにその熱を間宮の後孔へと押し付けた。
「んっ……」
質量を感じた途端間宮は甘い声を上げた。蕩けた後孔はズブズブとソレを飲み込んでいく。
「な、んだこれ……すげぇ……」
内部の熱さと狭さのせいで直ぐに快感を覚え、息を呑んでしまう。
「んぁっ……那須の……おっきい……」
さっきまで口に含んでいて分かっていたはずなのにあえて口に出して煽るようなことを言う間宮。
「い、いよ……那須、もっと奥きて……動いて?」
腰を掴んで強く腰を打ちつける。
「あっ、はぁんっ……す、ご……おく、届いて……はぁっ、ンン……」
振動でデスクから書類が落ちていく。汚れるのも気にせず2人は夢中で互いの熱を感じ合う。
「はぁっ、はっ……ま、みや……っ」
背中に熱い吐息を感じ、震える間宮。体が震えればナカも締め付け、絡みつく。
「んあっ……ンン、ふぁ……仕事中に……僕とのこと……思い出し、ちゃうね……っ」
「るせぇっ……集中しとけっ」
グッと中を抉るように突き入れ奥の壁当たりを狙って抽挿を繰り返す。
互いに呼吸が早まり、段々と那須の動きが早くなる。グチュグチュと水音と間宮の甘く切ない喘ぎ声が混ざり合う。
「ひぐっ……んぁぅっ……そ、こ……きもちい……那須……きもち、いいよ……」
男を抱くのは初めてだが、間宮の反応で何となく分かる。もうすぐ絶頂を迎えそうだと……。
そして間宮は自身を手ではなく那須のデスクに擦り付けて、溢れ出た先走りで汚していく。
「はぁんっ……ぃ、い……那須、なすっ……」
「くっそ、すげぇ……」
「那須も、きもちいい?」
「わる、くねぇなっ……つか、出そう……」
「僕もっ……もう……イきそ……」
そう言いながら間宮は更に内部で那須を締め付けた。
「ね、出して……そのまま、ナカに……」
か細い声で呟いたそれはしっかり那須の耳に届いた。
「後悔……すんなよっ」
「まさか。」
またもや煽られてしまい、那須は欲望のままに腰をうちつけた。
「んぁっ、はげし……い、いよ……っ」
「ほんとにもっ……イ、ク……出るっ」
熱い飛沫を内部で感じ、少し遅れて間宮もその性を放つ。ドクドクと脈打つそれは少しだけ長く続いた。
「すっご……さっきも出したのに……こんな……」
うっとりした顔で嬉しそうに言う間宮。
暫くは2人とも何も喋らず動かずでぼんやりしていた。
* * * *
一通り衣服の乱れを直し、散らかった書類や汚してしまった所の後始末を行う。
「ったく、どうすんだよこれ。せっかく直したのにぐちゃぐちゃじゃんか。」
「何言ってんの。君だって夢中だったでしょ。それに、大丈夫。ちゃんとしたのはこっちにあるから、安心して。」
間宮はUSBメモリーを手のひらに乗せて見せる。原本はいつでも印刷できるし問題ないよねと付け加えて得意げに笑った。
「あ、てめ……っ」
おちょくられたように思った那須はまた怒る。
「でも、まぁ、仕事も片付いて性欲も満たせて良かったでしょ?」
まさか、同僚としかも会社であんな事をしてしまった事を少しだけ後悔する。
「……。」
言い返す気も起きなくて那須は黙りこくってしまう。
その様子を見て間宮は何故か満足そうだ。
「さ、そろそろ帰ろう。送ってこうか?」
「車かよ。」
「まぁね。僕もちょっと忘れ物あったからついでだよ。」
時計を見ればもう1時半を過ぎていた。
先に出てるから駐車場まで来てね、と告げて間宮は去った。
那須は急いで残りの片付けをして間宮の後を追った。
《終》
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