いつもと違う

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いつもと違う

久しぶりに那須と間宮はサシで飲んでいた。 「そんな気を落とすなって。お前のことだからすぐ挽回できるだろ」 「それはそうだけど……でもさすがにこんな初歩的なミスするとかショックだよ」 新人でもやらないミスをしたという間宮は珍しく傷心気味だ。だが実際のところそれは間宮の作戦だった。相手の会社にも落ち度があるというのを明るみに出すため、こちらがわざとミスをして損害を追わないようにするための対処だった。それを勝手に取引失敗と勘違いした那須が珍しく間宮を食事に誘い、今は静かなバーで酒を酌み交わしていた。 「うっし、今日は奢ってやる!」 肩を落としてなかなか酒の進まない間宮を見てまだ落ち込んでいると思い込んで気前よく言い切る。実の所、どうやってセックスになだれ込むかを考えているだけだった。繁忙期が終わったと言うのにどうしてか最近やたらと忙しく、遊ぶ時間が取れず悶々としていた間宮。溜まりに溜まった性欲を身近なところで発散しようかと考えていたところに丁度勘違いした那須がいて今に至る。 色々考えた挙句、那須に回りくどいことをしても通じないだろうと結論付けた間宮はふっと少し笑う。 「ありがとう……でも僕……お酒よりもこっちで慰めてほしいな……?」 そーっと那須の足の間に手をはわせ、股間を優しく握る。 「ちょっ……」 「ね、お願い。相手してよ……今日はこれ、入れて欲しい気分なんだよね……」 周りの客に聞かれないように耳打ちする。 「っ」 那須は股間を少し強く握られ思わず息を飲んだ。 「……ねぇ、那須いいでしょ?久しぶりにさ……僕のこと抱いて?」 妙な色気を振りまき上目遣いでねだる。 「っち」 舌打ちして目の前の酒を一気に煽りテーブルに2人分のお金を置いてお釣りはいいからと勢いよく立ち上がる。上手い具合に乗せられ悔しい気もするが久しぶりに抱く側になる高揚にも似た感覚の方が大きく、那須の心は躍っていた。 * * * 2人は店を後にして一番近くのラブホテルへと向かった。道中とくに会話はなく、部屋に着くなり間宮は那須にキスを迫る。 「ちょっ、いきなりかよ」 「だって……」 珍しく性急に求めてくる間宮に対して那須は調子を狂わされそうになる。抱くからには自分のペースでことを進めたいからと間宮に落ち着くように言う。 「やだ……待てない……」 子供のように駄々をこねる間宮を見てなんか可愛いかもなどと柄にもなく感じたが、仕事終わりで汗も多少なりとかいているだろうからとまず風呂を風呂に入るよう伝える。間宮は素直に頷いてまずは自分がとシャワールームへと向かった。 どのくらい時間が経っただろう。酒のせいもあってウトウトしているとガチャンとシャワー室の扉が開いた。 バスローブに身を包み、いつも綺麗に整えられている髪の毛が跳ねたり水を含んで纏まったりしている。そんな姿でも間宮の容姿は整っていて思わず見惚れる程だった。 「どうしたの?」 「あ、いや。なんでもねぇ。俺もシャワー浴びてくる」 「うん、行ってらっしゃい」 ニコニコと手を振られる。なんとなくいつもと違う雰囲気に戸惑いなが那須はシャワー室へと入っていった。 「アイツのあの色気はなんなんだ……」 間宮の放つ色香に既に股間が軽く反応を示していて、自分の単純さに呆れたその言葉はシャワーの流れる音に紛れた。 手短にシャワーを終え、バスローブだけ羽織ると那須はすぐさま間宮の待つベッドへと戻った。 待ってましたと間宮は自らバスローブをはだけさせながら誘うように足を開く。下着は付けておらず、既に軽く反応を示しているソレを見せつけるように腰を浮かせた。 「待ち遠しかったよ……」 さっきまでのしおらしさはどこへいったのやら……という感じに那須は呟く。 「待てもできないのか?」 「うん……だって僕……すごーくセックスしたかったんだもん」 広げられた足の合間から何やら紐のようなものが伸びていてそれを辿ると既に内部にナニかを咥えこんでいた。どうやら先程風呂で仕込んでいたようで、ローションが後孔の周りをテラテラと濡れ光らせていた。 「これは?」 なんとなく想像はついたが、間宮に問いかける。 「アナルパールだよ……何個も玉が連なっててね……中に何個も入れると色んなところ押されて気持ちいいんだ……」 はぁっと熱い吐息を吐きながら恍惚の表情を浮かべながらわざわざ説明をつけ加える。 「ふーん」 自分から誘っておきながら我慢できず先に楽しみ始めてる間宮に多少のイラつきを覚える。 「ねぇ、俺にも見せてよ……間宮が一人でシてるところ」 「えっ、それは……」 「いいじゃん、減るもんじゃないし」 「…………わかった」 さっきまでの妖艶さはどこへやら、珍しく照れた様子を見せる間宮に対して那須はこころなしか気分が高揚している。 「……んっ」 開いた足のまんまに昂ったペニスを軽く擦りあげると手の動きに合わせて小さく声を洩らす。 「はぁっ……んっ……」 同時にパールをゆっくり見せつけるように抜き差しを繰り返す。見てはいけないものを見ている気がして、でも目が離せなくて気がつけば那須は間宮を押し倒し乗り上げていた。 「さすが、誘うの上手いな」 「やれって言うから、しただけだよ……。なぁに、僕を見てその気になってくれての?」 膝で股間をグリグリと押されうっ、と小さく息を呑み込む。 「望み通り抱いてやるよ……」 隠しているつもりだろうが、目には欲望の光が灯っていてそれを知った間宮は思わず笑ってしまう。やはり那須は単純だと思いながら那須の背中に腕を回す。 「ふふ……」 「何笑ってんだよ」 「なんでもないよ。それより、早くシよ……舐めてあげようか?」 「っ」 耳元で囁くと微かな反応を見せる那須。返事を待たずにバスローブの隙間から手を忍び込ませ、硬くなった那須のソレを擦りあげる。 「すごーい……那須もうこんなになってる……んっ」 体制を変えて躊躇うことなく張り詰めたペニスを口へと迎え入れる。舌先で全体を包んで舐め上げたり、わざと音を立てしゃぶりついたりして快感を高めていく。すでに準備万端の間宮の後孔はヒクヒクと物欲しそうに収縮するのが自分でもわかり、ひとまず指で慰める事にした。 「んっ……は……、ぁっ……んン……っ」 鼻から抜ける声に熱がこもる。那須も眉間に皺を寄せ必死に耐えてる様にも思える。 「っはぁ……そろそろ、いいかな……」 十分に硬く昂った那須のソレを手でこすりながら間宮は「もういれて……」と囁く。 「なら足開けよ……」 「後ろからしてほしいな……」 四つん這いになってしりを高く上げて左右に艶めかしく腰を振ってみせる。 「エロいやつ」 那須はがっと間宮のしりたぶを割開きヒクヒクと期待に収縮を繰り返す後孔へとその先端を押し当てる。 「んっ……はやくちょうだい……」 待ちきれないと自分から腰を押し付け、先端部がローションで濡れた後孔に飲み込まれる。それをきっかけに手をしりから腰へと移動させガッシリ掴んで一気に奥まで押し込める。 「あぁっん……いきなり、ふか……」 目の前がチカチカして思わず顔を伏せる間宮。太く熱い那須のペニスを内部に感じ、口角が上がる。 「ま、みや……お前ん中熱くてやべぇ……」 にゅるりと内部が離すまいと絡みつくのに抗ってぬっと先端部まで引き抜いてからまた強く奥を穿つ。何度かそれを繰り返していく。間宮が顔を何とか持ち上げて首だけで那須の方へと振り返るとだらしなくヨダレを垂らし、悦に浸ったような表示をしていま。そんな顔を見て那須は頭の中で何かがプツンと切れた音を聞いて、そこから手加減することなく欲望のままに間宮を抱いた。 「んぁっ、きもちい……いいとこばっか……だめぇ、んッ」 「気持ちいいんだろっ、締め付けて離さねぇじゃんっ」 ぐじゅっ、じゅぷっとローションが音を立てながら結合部が白く泡立つ。視覚だけでなく聴覚からも欲望を掻き立てられて更に硬度を増す那須のペニス。それを内部で感じてさらに締め付ける。久しぶりに“抱く”という行為に加減が上手くできず欲望をぶつけるも、それすら気持ちがいいと間宮は甘く鳴いた。 「あんっ、すご……い……っ、那須の硬いので……奥グリグリ……いいっ……んッ」 「……っやべぇ、もう……っ」 那須が息を詰め動きをさらに早くしていく。ぐじゅぐじゅと掻き回され、間宮も絶頂が近いようで呼吸が浅く早くなり、自分でペニスを擦りあげる。 「あんっ……んっ、出していいよ……っ、ていうか……ナカにちょ、だい……那須のせーし……」 「っくそ、煽ってんじゃ……はぁっ、ねぇっ……うっ」 さっきから煽られすぎてるせいか那須の口調が粗くなる。 「はぁんっ……つよ……ぃっ……も、イく……っ」 さっきからずっと目の上のチカチカするものは強くなってきている。目眩にも似たソレは自分が考えていた以上の快感を味わっている事を表しているようだった。その証拠にさっきからずっとイきっぱなしかの如くだらしなく溢れ出た体液でシーツを汚している。 「イケよっ……お前の大好きなやつぶちまけてやるっ……」 そう言うと那須は最奥目掛け、熱い飛沫を弾けさせる。ドクドクと脈を打つ熱と精液の熱さを感じて間宮も腰を大きくビクつかせた。 「ふぁっ……あんっ、んッ……イく……イっちゃ……ぁくっ……ん〜〜っ!!」 ピシャッ、プシャッと精液ではない透明な液体が更にシーツを濡らした。とたん、身体から力が抜けてどさりと倒れ込む間宮。呼吸は荒く、ピクピクと小刻みに身体が震えている。 「……大丈夫か……はぁ、はぁ……」 隣に倒れ込むように寝そべり間宮に問いかける。 「ん……すごい良くて……飛ぶかと思った……はぁ……っはぁ……」 「……そりゃ、あんだけ煽れば俺だって手加減できねぇし……」 手加減なく抱いてしまった事に少しだけバツの悪そうな顔をする那須。 「別に…………」 妙な間があって耐えきれずばっと起き上がり、那須は顔の前で両手を合わせた。 「………………すまんっ、さすがにやり過ぎた、よな」 「…………」 間宮からは特に反応がない。もしかして眠ってしまったのかと顔を覗こうとしたその時、腕を引っ張られバランスを崩してベットへ倒れ込んだ。 「んぶっ!てめぇっ、なにす……んっ……」 何すんだとすごもうとした途端口を塞がれ、そのまま舌を絡め取られる。 「んっ……んぅ……、はぁっ……な、に……」 「何って、次は僕の番。那須だって実はここ、疼いてるんじゃない?」 臀部に伸びた手がゆるゆるとしりをわり開く。ひんやりと外気を感じ背筋がゾクリとした。 「やめ……っ、やめろ……」 「やめないよ、散々好き勝手されてこのまま終わるわけないじゃない?」 「いやいや、煽ったのお前だし」 その腕から逃れようとじたばた身動きするも、うまく動きを封じられてしまう。 「そうだっけ?」 とぼけて更にことを進めようとする間宮。手の動きがどんどん卑猥なものへ変わっていく。 「くそ……」 「ふふ、ほーんと健ちゃんは単純だね」 那須の何でもござれといった様子に間宮は笑った。 「うるせぇ、ボケナスが!好き勝手しやがって……つか健ちゃんって呼ぶなよ」 「怒らないで健ちゃん」 「だーかーらー!!」 「まぁいいじゃない、今度はこっちで気持ちよくしてあげるね」 悪びれもせず身体をまさぐりながら間宮は言った。その背中には見えるはずのない黒い小さい羽のようなものが見えた気がした。 「あー!!もう!好きにしろっ!」 那須は抵抗するのも無駄だと諦めて大の字に寝そべった。 〈終〉
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