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酒とベッドと嫌な奴
「やらかした……」
飲みすぎて、気がついたら何故か隣には間宮が寝息を立てている。しかも裸で。こんな場面は漫画やテレビの中でしか見たことが無かったが予想以上に焦る。周りをとりあえず見てみると脱ぎ散らかした衣類と使用済みのコンドーム。それと潤滑剤と丸められたティッシュ。どこをどう見ても事後でしかない。
「まじかよ……」
はぁとため息をついた。
暫くは動けず頭も働かない那須。
「まつ毛なげぇな。」
焦りすぎて何も考えられなくて、とりあえず隣の間宮の顔をじっと眺めた。
「……って、そうじゃない。くそこんな予定じゃ無かったのに。」
思い返せば昨晩、かなり飲まされた。部長相手に飲まない訳には行かなくて、グラスが空くと直ぐに新しいものをつがれた。酒には強い方でよく付き合わされていたから大丈夫かと甘く考えていたらこの有様だ。幸い二日酔いの症状は無かった。
だがやはりこの状況……記憶は無くまたもや同期である同じ課に所属する間宮と寝てしまったのか。いくら思い返そうにも上手く頭が働かない。
「……おはよ。」
「起きてたのかよ。」
いつの間にか間宮がも目を覚ましていたらしい。
じっと那須をみて何やら機嫌良さそうに笑っている。
「何笑ってんだよ。」
「いや、朝から元気だね。その感じだと身体は大丈夫なの?」
「身体?なんで……」
「え、初めてだったんでしょ?」
「何言って……この前はお前を……って、まて、まさか……」
那須はみるみる青ざめて布団の中を確認した。起きた時の衝撃であまり感じていなかった身体の疲労感と何となく腰が痛いような感じがし始めた。
「その、まさかだよ。昨日の那須はすごく可愛かったなぁ。自分から僕を求めて足開いちゃって……」
ニヤニヤしながら思い出させるかのように那須の体のラインを指でなぞる。
「んっ……や、めろ。俺とお前なんて有り得ねぇだろ……」
「有り得ないなんてことは無いよ?でも……忘れちゃったなら思い出させてあげる。」
突然ベッドに押し倒され那須の上に乗り上げる間宮。
「ちょ、やめ……」
動こうにも間宮の力が割と強く、ビクともしない。間宮が目を細め、那須を見下ろす。眼光が鋭く、那須は身震いした。
* * *
「ん……やめっ……ま、みやぁっ……」
「ふふ、まだ後ろ柔らかいね。」
「い、うなぁっ……んぁッ」
「ほら、もうこんなに広がってるのに、まだ思い出さない?」
指を2本埋め込まれ中で広げられてしまう。ほんの数時間前までソコを使っていた事を物語っている。
「もう1本、入れてあげる……ちゃんと思い出してね?」
本当はもうとっくに思い出していた那須は指が与える開館にただ耐えるだけだった。
3本の指をバラバラに動かされ、んくっと小さく息を漏らす。
「ねぇ、思い出した?僕とのセックス。」
耳元で囁かれて背中にぞわりと震えが走った。
「耳、感じるの?」
「しらね……っ、んぁっ……」
耳たぶを甘がんで耳の形をなぞるように舌を這わせる。ちゅぷちゅぷという水音が頭に直接響くようで、思考を停止させる。
「んぁっ……ふっ……やめっ……」
「かーわいい。那須にもこんな可愛い所あるんだ。」
「う、るせ……ぇっ」
「素直じゃないね。こっちは気持ちいいって吸い付いてきてるけど?」
動きを止めていた指がまた抜き差しされ、くちゅくちゅと音を立てる。
「や、め……ンンッ……そ、れ……やめ、ろ……」
「止めるわけないでしょ、こんなにしてるのに。」
今度は空いてる方の手で那須の起立に触れる。ソコは既に溢れ出た先走りで濡れていた。わざとくちゅくちゅと先走りをぬりたくり音を立てる。
「はぁっ、んんっ、や、やめ……」
「すっごい、ぬるぬる。ねぇ、那須……こんなになっても信じないの?」
「アッ……だ、だって……おまえ、あの時は……はぁっ、ンン……お、れに……」
「うん、あの時はね、そっちの気分だったんだよ。僕どっちもイケるからさ。」
「ん、なの聞いてねぇ……」
「言ってないもん。それよりさ、僕も気持ちよくしてくれない?」
間宮は自分の股間に那須の手を導いた。
「触って、那須……」
自分以外のモノに触れるなどした事無かった那須は一瞬たじろぐ。
自分がするのと同じようにすればいいからと言われ、ゆっくりと手を動かし始めた。
互いに互いの性器を擦り上げていくうちに何となく臀の奥に疼きを覚える那須。
こんなのは自分じゃないと頭を振るもどうやら間宮には全てお見通しのようだ。
「入れて欲しい?」
低く響く声で囁かれて思わず頷いてしまう那須。
「ん……」
「素直だね。」
「るせ……早くしろ……」
相変わらず口は悪い。半ばやけくそになって間宮に言うと間宮は直ぐに枕元のサイドボードに手を伸ばした。
コンドームを手に取るとそのままパッケージを口で破く。そんな姿ですらスマートで男の那須から見ても色気を感じた。
素早く自身にコンドームをはめて、潤滑剤をもう一度手に取り那須の後孔に塗りたくる。
その僅かな刺激にですら身体は反応してしまい小さく喘いでしまう。
「かわいいね……那須。今あげるから……」
そう言うと間宮はヒクヒクと伸縮を繰り返す那須の後孔に己の先端を宛てがうとそのままゆっくりと中へと押し込んでいく。
「んぐっ……ぅぁ……ッ」
「息ちゃんとして、苦しくなるよ。」
不慣れな受け入れと圧迫感で上手く呼吸が出来ないでいる那須に対して間宮は深呼吸をするように伝えた。
「ひっ……アッ……はぁ……はっ」
「ん、上手。」
呼吸に合わせ、少しづつ腰を進め、ようやく半分程挿入する事が出来た。
「偉いね、ちゃんと出来て。」
「しら、ね……ぇよっ……」
「あと少しだから、頑張ろうね。」
そう言うと間宮は容赦なく一気に腰を打ち付けた。
どちゅんと音を立て全てを呑み込んだ那須は目の前がチカチカした。
「んぁっ、がっ……」
「ぜぇんぶ入った。見る?」
わざと見せつけるように那須の腰を持ち上げると挿入の角度が変わり、奥の突起部分に触れる。ビリビリと体に電気が走る感覚に那須はまた甘く鳴いた。
「そこ、は……アッ……はァァんッ……」
「那須のイイ所、だよね。」
昨晩とっくに探り済みだと間宮はそこを中心的に攻め立てる。
「んぁッ……そ、んな、強いぃ……」
「僕ので沢山突いてあげるからねっ……」
那須の腰を掴んで抽挿を繰り返す。動きに合わて潤滑剤と那須の先走りとが混ざりあってグチュグチュと音を立てている。何度も穿つ事で後孔の周りは白く小さな泡ができ始めていた。
「はぁっ、那須の……凄い、締め付けてくるね……僕の、気持ちいい?」
「んやぁっ、わかんな……あっ……い……」
体をのけぞらせ快感を逃がそうと必死に足掻く那須。
「素直に気持ちいいって言えばいいのに……ほら、中はすごい絡みついてきて……離したくないって言ってるみたい……」
「ひゃっ……んぁ……だ、から……わかんね、ってばぁっ……あひっ」
段々と奥を穿つ腰の動きが早まっていく。決して乱暴ではないその動きに酷く感じてしまっている自分とで最早頭が働かず、口から盛れる言葉も意味をなさないものばかりになっていた。
「んぉっ……うっ……ま、まや……」
「んっ……那須っ……」
那須はうっすら浮かんだ汗で髪の毛を湿らせている。
「イク?」
「はぁんっ……んン……も、イキた……まみやぁっ……」
「いいよ、まだ後ろだけだと無理だと思うから、前も触るね?」
起立したソレを手に取り上下に動かせば、連動して内部が甘くキュッと締め付けるように蠢く。とめどなく溢れる先走りと共に鈴口当たりも指で刺激すると、ぷちゅ、くちゅっと耳を塞ぎたいようなそんな音が響いた。
「ほら、イッちゃおう……僕も、もう……そろそろだから……」
そう言うと間宮は一気に腰の動きを早める。
「くぁっ……イ、く……出るっ……んぁぁぁっっっ」
全身を震わせると同時にキュンキュンと内壁をうねらせる。
先端からはドプリと粘液が放たれ、自分の腹を汚した。内壁の蠢きに耐えれず間宮も何遅れること数秒で達した。
「はぁっ、はっ……はぁっ……」
「すごい、僕もつられちゃった……」
満足そうに笑って濡れた髪をかきあげる間宮。
「く、そ……」
何をしても絵になるとかいけ好かないなどと思いながらもなすは疲労感で喋ることも億劫になっていた。
「気持ちよかった?」
「知らねぇよ……」
「そ?僕は気持ちよかったよ。」
「……あそ。」
まさか自分がこっち側に回る日が来るなんて想像もしてなかった那須は何となくバツが悪く黙ってしまう。
間宮もまた空気を読んでか無理に話をしようとはせず余韻に浸たり、休日の半分を過ごした。
酒の席とは怖いもので、気を抜いてはいけない事を学んだ那須はしばらくの間禁酒月間と称して酒を控えた。
《終》
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