インフルエンサーとコラボしよう

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インフルエンサーとコラボしよう

 俺達はエミリオに伴われて、高級娼婦、ロゼッタ嬢のところを訪れていた。    エミリオの邸宅を上回る程の、豪華絢爛な屋敷のホールで俺達は待たされていた。ここが娼館だというのだから驚きだ。確かに日本でも、地位のある人間が行くのは会員制の高級クラブだもんな。  しばらくして、執事のような出立ちの男性に伴われて部屋に通されると、そこには1人の貴婦人がたっていた。  肌はまるで陶器のようにきめ細かく白いが、頬にはチークが施され、程よい生気を感じさせる。口元は真っ赤な紅が引かれて鮮やかだが、それに負けない目鼻立ち。綺麗にまとめ上げられた髪は宝石を散りばめたように装飾品で彩られ、胸元のざっくり空いたブルーのドレスが何とも言えずセクシーだ。  何というか、オーラのようなものを感じさせる、同じ次元にいるとは思えないような、まさに絶世の色っぽいお姉さん・・ 「エミリオ様、ご機嫌麗しゅう・・」    そう、派手な鳥の羽根があしらわれたピンクの扇を手に、艶やかに微笑んだその姿。妖艶さが半端ねぇ。 「悪いなロゼッタ。突然呼び出して」 「構いませんよ、エミリオ様のお呼びとあらばいつでも・・」    そう、うふふ♡と上目遣いで意味あり気な視線を送る。まさに色気の衝撃波。こんなお上品なお姉さんが毎日誰かとエッチなことしてるのかと思うと、想像するだけでたまんねー。  俺が我を忘れて鼻の下を伸ばしていると、エミリオに小突かれてはっと我に返る。 「エダ、あれ出して」と慌てて取り繕ったが、エダもエミリオも俺に白い目を向けていた。そんなに顔に出てたか?  コホン、と咳払いして気を取り直した俺は、見本として購入したミュートルの腕輪をロゼッタ嬢に差し出した。 「これはミュートルという素材で作られた腕輪です。私はこれを取り扱う商人でして」 ロゼッタ嬢はそれを手に取って、艶やかな笑顔を俺に向けた。 「あら、あまり見た事のない素材ね。今日はこれを私に買って欲しいというお話かしら?」  俺は首を横に振った。 「いえ、これは、見本です。このミュートルは様々なデザインに加工する事が可能です。そこで、今日はロゼッタ様の好みのデザインをお伺いして、お望み通りのものをお作りし後日お届けに参ります」  俺は、続けた。 「お代は、一切いりません。」  その言葉に、ロゼッタだけでなく、エミリオもエダも驚いた顔をした。エダが後ろで声をあげそうになったのを察して、俺はすかさず (黙ってろ!) と視線を送った。その俺の意図を察したのか、素直なエダは口をつぐむ。 「あら、プレゼントして下さるの?嬉しいわ♡  ・・でも、どうしてまた?」  俺はロゼッタの元に膝まづき、彼女に向けて笑顔で言った。 「ロゼッタ様に気に入って、着けて頂けるだけで結構です。・・まぁ、かわりと言っては何ですが、同じデザインのものを、街で販売させて頂きたいのです。 "ロゼッタ嬢も御愛用 " と銘打って」  日本では芸能人を始めとするインフルエンサーと言われる人達にデザインコラボをお願いしたら、数千万単位の報酬が発生する。それを商品をタダで渡すだけでデザインしてくれて名前まで使わせてくれるのならば、俺的には超がつく程、お安い宣伝広告費! 「あら、全然、構わなくてよ♡私の好きに作ってくれるの?」  彼女が膝まづいた俺に、にっこりと笑いかける。なんちゅう良い匂い・・下からのアングルで眺める貴方のおっぱいも最高っす!  再び鼻の下を伸ばした俺を気に留めることなく、彼女は思案を巡らせ始めた。 「どんなデザインが良いかしらね。レースのように編み上げて、首や腕に巻いたら素敵じゃないかしら。あと、首につけるなら、宝石をあしらったら社交会でも着けられそう。髪飾りにしても素敵ね。細かい宝石を散りばめたら、きっととても美しいわ・・」 「何点でも結構ですよ。出来れば、紙にデザインを書いて頂けると。それか、イメージに近い形のアクセサリーがあれば、見せて頂けると助かります。 ・・エダ、ロゼッタ様のイメージをしっかりお聞きして、後で再現出来るようにメモに取っておいて」  正直アクセサリーのことは男の俺にはよくわからん。エダに任せて、俺はエミリオと一緒にテーブルに出されていた紅茶を頂く事にした。 「ありがとうエミリオ・・様。  お陰で良いものが作れそうだ」 「構わんが、今後はあまり王都を堂々と彷徨くなよ。あの場にいた者に君が生きている事が分かれば、僕が糾弾されるんだから」 「・・ごめん。今後は、変装とか、する様にするわ」  そう素直に謝った俺にエミリオが鋭い視線を向けたので、俺はまた怒られるのかなと思ったのだが、 「あと・・エミリオでいい」  と言ったので、俺は笑った。コイツ、爵位もってるらしいわイケメンだわ強いわ性格もいいなんて・・どんだけ嫌味な奴なんだ。 「じゃあさ、エミリオ。  早速、お願いがあるんだけど・・」 「何?」    俺は満面の笑顔で、精一杯可愛らしく首を傾げながら奴に言った。 「お金貸して♡」  エミリオの美貌が、見るからに呆れた色に彩られた。 「君のいた世界には遠慮って言葉、無いのか?」
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