二代目

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 こうして、多くの涙に包まれる中、神様は息子に神様の座を譲り、第一線を退きました。 「これからは頼んだぞ、息子よ」 「はい、お任せください神様。今まで、お疲れさまでした」    息子がぱちんと指をはじくと、大天使達が元神様の体をがっちり抑え込みました。 「ワハハ、気付かなかったのか馬鹿な元神様め。全ては俺の企みだ。医者も天使も俺の手先だったのさ」 「な、なんじゃと?」 「放っておくと、いつまで神の座に居座られるか分からないからな。追い出させてもらうぞ」 「くっ、貴様。親に対して何と言う事を。おい、大天使達、息子を取り押さえろ!!」  ですが今や元神様。  誰も言う事をきいてくれません。  こうして神様はクーデターに負け、どこか遠い所へ幽閉されてしまいました。 「よおし、これで俺が神だ。今まで我慢していた分、やりたい放題してやるぞ!!」  新しい神様の笑い声が天の世界にこだましました。  この事件が起こったのは、人間の世界で言うと一九九九年の夏ごろでした。  何事も無かったね、と一部の人々が胸をなでおろしたあの日、実は神様の世界で大事件が起こっていた事を知る者は誰もいません。  実は今、人間の世界を支えている神様は二代目なのです。  そう言えば……人間の世界では、二代目が会社を潰すなんて事もあるようですね。  さて、神様の世界ではどうでしょうか。
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