神の守り人

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◆ 数ヶ月前。 「キース!お前の所属が【神様の守り人】に決まったぞ!」 「……神様って守られる必要あるんスか?」 街の兵団にて、仮所属先の上司の興奮した声に、キースは戸惑いながら返す。 この国には神がいた。 建国時から、この国と民に祝福を与え続けて、もう数百年になるという。 国の外れ、人里も(まば)らな山奥で育ったキースにとっては、王都に越してくるまでその存在は薄いものであった。 王都に越してすぐ、母に連れられ神殿に挨拶に行ったが、神への祈りや神への謁見の為に集まった人々でごった返しており、その静かなる熱量にキースは酔って気持ち悪くなった。 その一度以降、キースは神殿には寄り付きもしなかった。 「神様はとても大切な方なのだから、守らない訳がないだろう!」 「……じゃあ、辞退はできませんか?」 「こんな栄誉な事を何で辞退するんだ?」 この上司では話が伝わらず、他の人に話をしようとしたが、結局はそのまま押し切られて、キースは【神の守り人】に就任した。
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