1人が本棚に入れています
本棚に追加
◆
数ヶ月前。
「キース!お前の所属が【神様の守り人】に決まったぞ!」
「……神様って守られる必要あるんスか?」
街の兵団にて、仮所属先の上司の興奮した声に、キースは戸惑いながら返す。
この国には神がいた。
建国時から、この国と民に祝福を与え続けて、もう数百年になるという。
国の外れ、人里も疎らな山奥で育ったキースにとっては、王都に越してくるまでその存在は薄いものであった。
王都に越してすぐ、母に連れられ神殿に挨拶に行ったが、神への祈りや神への謁見の為に集まった人々でごった返しており、その静かなる熱量にキースは酔って気持ち悪くなった。
その一度以降、キースは神殿には寄り付きもしなかった。
「神様はとても大切な方なのだから、守らない訳がないだろう!」
「……じゃあ、辞退はできませんか?」
「こんな栄誉な事を何で辞退するんだ?」
この上司では話が伝わらず、他の人に話をしようとしたが、結局はそのまま押し切られて、キースは【神の守り人】に就任した。
最初のコメントを投稿しよう!