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「初仕事はいかがでしたか?」
「……勉強になりました」
寝所への帰り道に神から話しかけられ、キースは当たり障りのない答えを返す。
神の表情は見えないが、笑っているようで、眠かったのがバレているなとキースは思った。
「わからない事がありましたら聞いてくださいね」
「いえ!神様の御手を煩わせる訳にはいきません!わからない事があれば、まず俺たちに聞け」
同じ守り人のハイトが慌てて言い、もう1人の守り人のウィリアムも大きくうなずいた。
2人ともキースより10歳以上年上で、この任務に就いて長い。
「では、ずっと疑問だった事がありまして……」
「何だ?」
「神様は守られる必要があるのですか?」
一拍の沈黙の後、ハイトとウィリアムが同時に怒鳴った。
「大切なお方なのだから当たり前だろ!」
神がなだめてくれて、2人が落ち着き始めたので、キースは続けた。
「神様は無敵なイメージがあるので、自分の身は自分で守れそうですし、むしろ俺らは邪魔になるのではないかと」
そこまで言えば、ハイトとウィリアムも黙り込み、神は「なるほど……」と呟いた。
神は少し考え込んでる様子で、全員が無言のまま寝所に着いてしまい、神とは別れた。
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