1人が本棚に入れています
本棚に追加
「昨日の質問について……」
翌日の帰り道、神がまた話しかけてきた。
今度も疑問は解消されないと思っていたキースは驚き、神の言葉に聞き入る。
「私は精霊を制御できるので、魔法攻撃は効きません。しかし、殴られたり、刺されたりすれば痛いです」
「では、物理的な攻撃から神様を守れば良いのですね?」
「そうしていただけるとありがたいです」
ハイトもウィリアムも初めて聞いた話で呆気に取られている。
この質問自体をする者がおらず、誰も気にしてこなかったのだろう。
「ちなみに、もし、魔法攻撃が来た場合は神様を頼っても良いですか?」
「お前はまた!神様を盾にするつもりか?!」
キースが濁した言葉をウィリアムが直接的な言葉で返す。
キースは口を閉じかけたが、今回はまた口を開いた。
「魔法攻撃で俺らがやられてしまったら、誰が神様を物理攻撃から守るんですか?」
ウィリアムは目を泳がせてハイトを見る。釣られてキースも彼を見たが、ハイトは何も言えなかった。
神は「ふふふ」と柔らかく笑った。
「もちろん、私を頼ってください。それにしても、キースはとても現実的ですね。実戦経験があるのですか?」
「俺はありません。……ただ、父にはそういう時代があったみたいです」
「その話を聞かせてもらえますか?」
「……構いませんが、また明日にでも」
また寝所に到着する。
神と別れてからはハイトもウィリアムも何も言わなかったが、訝しげにキースを見ていた。
この国は建国から数年以来、戦争や紛争といった大きな戦いはない。
争いのない平和な国だ。
それはつまり、キースの父がこの国の者ではない事を示し、それはこの国の人にとって異物である事を示す。
キース自身は他国で暮らした事が無くても、彼らにとってそれはキースを異物とし、相容れないと思うのに十分な理由であった。
ただ、そんな相手とキース自身も相容れたいとは思っていなかった。
最初のコメントを投稿しよう!