神の守り人

5/12
前へ
/12ページ
次へ
「昨日の質問について……」 翌日の帰り道、神がまた話しかけてきた。 今度も疑問は解消されないと思っていたキースは驚き、神の言葉に聞き入る。 「私は精霊を制御できるので、魔法攻撃は効きません。しかし、殴られたり、刺されたりすれば痛いです」 「では、物理的な攻撃から神様を守れば良いのですね?」 「そうしていただけるとありがたいです」 ハイトもウィリアムも初めて聞いた話で呆気に取られている。 この質問自体をする者がおらず、誰も気にしてこなかったのだろう。 「ちなみに、もし、魔法攻撃が来た場合は神様を頼っても良いですか?」 「お前はまた!神様を盾にするつもりか?!」 キースが濁した言葉をウィリアムが直接的な言葉で返す。 キースは口を閉じかけたが、今回はまた口を開いた。 「魔法攻撃で俺らがやられてしまったら、誰が神様を物理攻撃から守るんですか?」 ウィリアムは目を泳がせてハイトを見る。釣られてキースも彼を見たが、ハイトは何も言えなかった。 神は「ふふふ」と柔らかく笑った。 「もちろん、私を頼ってください。それにしても、キースはとても現実的ですね。実戦経験があるのですか?」 「俺はありません。……ただ、父にはそういう時代があったみたいです」 「その話を聞かせてもらえますか?」 「……構いませんが、また明日にでも」 また寝所に到着する。 神と別れてからはハイトもウィリアムも何も言わなかったが、訝しげにキースを見ていた。 この国は建国から数年以来、戦争や紛争といった大きな戦いはない。 争いのない平和な国だ。 それはつまり、キースの父がこの国の者ではない事を示し、それはこの国の人にとって異物である事を示す。 キース自身は他国で暮らした事が無くても、彼らにとってそれはキースを異物とし、相容れないと思うのに十分な理由であった。 ただ、そんな相手とキース自身も相容れたいとは思っていなかった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加