神の守り人

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◆ それから1、2ヶ月程が経ち、キースは母親の病気の為、神と会話をする時間はなくなった。 キースの母はこの街に来てから衰弱し始めており、とうとう寝たきりになったのである。 【神の守り人】の仕事は続けていたが、業務時間中に神とキースが会話する事はない。 しばらくしてから、また寝所の前で神はキースの腕を掴んだ。 キースは断らずに寝所へと入った。 「あ、あの……お母様が亡くなったら、この街を出ると聞きました。本当ですか?」 神は帽子と仮面を適当に外しながらも、片手は縋り付くようにキースの腕を掴んでいる。 「兵団の人が感謝の祈りでもしてましたか?」 「はい。では……」 「本当です。母の願いで、この街に戻ってきました。母方の親族も見つかりませんでしたし、山に帰るつもりです」 神はふるふると頭を横に振る。 「……い、祈ってください!お母様が死なないよう、元気になるよう祈ってください!」 「……元々、母が祈ったんじゃないんですか?」 キースがそう尋ねれば、神は顔を硬直させる。 「知っていたのですか?」 「知りませんが、何となくそう思いまして。母がこの街に帰ってきたのは、その為だったのかな、と」 神は声を震わせながらも言葉を発した。 「お母様は祈られました。痛みなく、お父様の元にすぐに逝きたいと……私は、それを【祝福】しました」 「母が祈ったのは神殿であって、謁見室ではありません。神様の祝福は漠然としたモノでしたよね?」 神はまたふるふると頭を横に振った。 「お母様が祈ったんです。幸せに生きられた事への感謝の言葉と、苦しまずにお父様の元へ行くという望み。そして、私の願いも叶いますようにと」 「神様の願い、ですか?」 「そんな事を祈られたのは初めてで、私はお母様を特別に【祝福】しました。そして、まず、人間だった時のように、対等に話ができる人が欲しいと思いました。そして貴方が現れた。私は今度は……」 「待ってください!」 キースは神の肩を掴み直して言葉を止める。 神は怯えた目でキースを見た。
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