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私には、兄がおりました。
私の兄は、とても純真でした。そのため『天界一の童貞』と呼ばれておりました。
※この点については以前に私の担当する人と接点があった際に指摘を受けた記憶があるため補足しておきますと、決して侮蔑の感情を含んだ呼称ではないのです。
しかし、侮蔑の感情の有無というものは関係なく、兄は純真であるがゆえ、史上稀に見るほど簡単に堕ちてしまったといいます。
人の言うところの何万年という期間におよび純真であった兄は、わずか同1週程度の悪魔的アプローチにより誑かされ、闇落ちしました。
この件から、純真であればよいという風潮は見直しされていきました。数万年という期間に渡って童貞であるということは、実際にどうなのかを問う議論です。
それらの議論は、妹である私の耳にも当然入ります。いくら気にしなくてもよいと言われても、私は当初から大層肩身の狭い思いをしました。
加えて、兄が『アエテルニタス・クラルス』という恥ずかしい名の呪いを残していったことも、私の立場を一層悪くさせました。
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